改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]国税関係帳簿【過少申告加算税の軽減措置】(4)-要件:検索機能-
改正電子帳簿保存法における国税関係帳簿の要件の一つ、検索機能の内容について見ていきます。
まず、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(規5条⑤一ハ)では、
次に掲げる要件を満たす検索できる機能を確保する
とされており、
検索機能とは、電子帳簿保存法取扱通達(通8-12)では、
記録事項から設定した条件に該当する記録事項を探し出すことができ、
検索により探し出された記録事項のみが、
ディスプレイの画面、書面に、整然とした形式、明瞭な状態で出力される
機能
検索項目について記録事項がない記録を検索できる機能を含む
(検索項目に係る記録事項がない場合でも、空欄を対象として検索できるようにする)
とされています。
それでは、その要件を見ていきましょう。
■取引年月日、取引金額、取引先を検索の条件として設定できる(規5条⑤一ハ)
・取引年月日(規5条⑤一ハ、通8-13)
特例国税関係帳簿に記録すべき日付
(取引年月日、記載年月日、約定年月日、受入年月日等)
・取引金額(規5条⑤一ハ、通8-13)
特例国税関係帳簿に記録すべき
取引金額、又は資産の譲渡等の対価の額等
をいい、単価及び残高は含まない
・取引先(規5条⑤一ハ、通8-13)
特例国税関係帳簿に記録すべき事項のうち、取引の相手方
例えば、
次に掲げる特例国税関係帳簿の区分に応じ、
それぞれ次に定める記録項目が該当する(通8-13)
・仕訳帳・・・取引年月日、取引金額
・総勘定元帳・・・記載年月日、取引金額
転記した取引の取引年月日で、
一定期間の取引の合計金額を総勘定元帳に転記している場合
一般的に複式簿記の原則に従って処理される日や、
簡易帳簿への記帳が行われる日(集計対象とした期間の末日など)
(問30)
・現金出納帳、売上台帳、仕入台帳などの補助記入帳
・・・取引年月日、取引金額、取引先名称
・売掛金元帳(台帳)、買掛金元帳(台帳)などの補助元帳
・・・記録又は取引の年月日、取引金額、取引先名称
・固定資産台帳、有価証券台帳、給与台帳など資産名や社員名で区分して記録している帳簿・・・資産名、又は社員
一連番号等により関連国税関係帳簿との関連性の要件を
確保することとしている場合
一連番号等により特例国税関係帳簿の記録事項を検索できるときも
要件を充足するものとして取り扱う
具体的な検索項目が例示されています。
まずは自社で使用している帳簿を確認して把握してみて、
検索項目がなくても空欄として検索できるようになっているか、
まで意識がなかった方もいると思いますので、確認をしておくとよいでしょう。
■日付、又は金額は、その範囲を指定して条件を設定できる(規5条⑤一ハ)
課税期間ごとに、日付、又は金額の任意の範囲を指定して
条件設定を行い検索ができる(通8-14)
データ量が膨大であるなどの理由で複数の保存媒体で保存せざるを得ない場合や、中間決算を組んでおり半期ごとに帳簿を作成している場合など、
一課税期間を通じて検索をすることが困難であることについて合理的な理由があるときは、その合理的な期間ごとに範囲を指定して検索をすることができれば良い(問15)
税務調査における質問検査権の行使に基づく記録の提示、又は提出(ダウンロード)の要求に応じることができる場合は不要(通8-16)
国税関係帳簿の要件の中で、
「質問検査権に基づく帳簿の記録の提示、又は提出の要求に応じることができるようにしておく」(規2条②三)
とあり、ほとんどの方がその要件を満たしていると思いますので、自社の状況に応じて検討すると良いでしょう。
■二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定できる(規5条⑤一ハ)
個々の帳簿を検索するに当たり、
検索の条件として設定した項目(取引年月日、取引金額、取引先)から
少なくとも二の記録項目を任意に選択して、
これを検索の条件とする場合に、
いずれの二の記録項目の組合せによっても条件を設定できる(通8-15)
二の記録項目の組合せは、「AかつB」と「A又はB」が考えられるが、
「A又はB」の組合せは、
それぞれの項目により二度検索するのと実質的に変わらないため、
二の記録項目の組合せに要件に該当しない(問29)
必ずしも「AかつB」という組合せで検索できることのみではなく、
一の記録項目(例えば「A」)により検索をし、
それにより抽出された記録事項を対象にして、
別の記録項目(例えば「B」)により再度検索をする方式
も結果は同じであるから要件を満たす(問29)
税務調査における質問検査権の行使に基づく記録の提示、又は提出(ダウンロード)の要求に応じることができる場合は不要(通8-16)
こちらも範囲指定の要件と同様に、ほとんどの方が質問検査権の要求の要件を満たしていると思いますので、自社の状況に応じて検討すると良いでしょう。
また、項目での組み合わせの具体例も提示されていて理解がしやすいのではないでしょうか。
国税関係帳簿【過少申告加算税の軽減措置】の要件に関わるチェックシートが公表されていますので、こちらも参考にして、自社では満たしているかどうか、を確認してみると良いでしょう。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021011-060_03.pdf
関連条文等
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第5条5項一ハ
電子帳簿保存法取扱通達8-12、8-13、8-14、8-15、8-16
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/030628/pdf/01.pdf
電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】問15、問29、問30
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_01.pdf
おわりに
質問検査権の要求に応じるかどうかによらず、税務職員からの要求に対しては迅速に対応できることが望ましいと考えますと、範囲指定や記録項目の組み合わせで検索、抽出できるようにしておくと良いと思われます。
自社の負担が多くならない範囲で、検討できるといいですよね。
法律が変わったから、という認識で管理をしていくよりも、ここでしっかりと管理できる体制を構築できる機会になると前向きに捉えていけるといいですよね。
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