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改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]電子取引(4)-要件:措置-

改正電子帳簿保存法における電子取引の要件の一つ、措置の内容について見ていきます。

まず、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則では、

受領が書面により行われたとした場合、
又は送付が書面により行われその写しが作成されたとした場合、
書面を保存すべき場所に、保存すべき期間、次に掲げる措置の"いずれか"を行い、要件に従って保存しなければならない(規4条①)

とされています。


■記録事項にタイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う(規4条①)


あらかじめタイムスタンプが付与された書類について、受領や送付がされたもので、対応をしてくれる取引先等があれば要件を満たすと思いますので、確認をしてみると良いでしょう。取引先にシステム導入がされていない可能性もありますので、要件を満たせる中小企業は多くはない可能性も考えられます。


■次に掲げる方法の"いずれか"により、タイムスタンプを付すとともに、保存を行う者、又はその者を直接監督する者に関する情報を確認できるようにしておく(規4条①)

※保存を行う者・・・保存した画像が書類と同等であることを確認する入力作業をした者(確認した者)(通4-29)

※その者を直接監督する者・・・保存作業を直接に監督する責任のある者で、例えば、企業内での最終決裁権者ではあるが、保存作業を直接に監督する責任のない管理職の者(経理部長等)はこれに当たらない(通4-29)

●タイムスタンプを付すことを授受後、速やか(おおむね7営業日以内)行う(規4条①、通7-2)

●タイムスタンプを付すことをその業務の処理に係る通常の期間(業務処理サイクルの期間、月をまたいで処理することも通常行われている業務処理サイクルと認められ、最長2か月)を経過した後速やか(おおむね7営業日以内)行う(規4条①、通7-3)
・授受からタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る(規4条①、通7-3)
・最長2か月とは暦の上での2か月をいう(問37)
 例えば、4月21日に受領した取引データの場合、業務処理サイクルの最長2か月は6月20日で、そのおおむね7営業日後までにタイムスタンプを付与すればよい(問37)

どちらの方式を採用してもよく、課税期間の中途で変更することも選択できる(問25)


入力作業を外部の者に委託した場合
委託先における入力を行う者、又はその者を直接監督する者の情報を確認できる必要がある(通4-29)


タイムスタンプ要件について、その付与期間内に電子取引に係る記録事項にタイムスタンプを付すこととし、令和4年4月1日以後に保存が行われる電子取引の取引情報に係る電磁的記録について適用する
(令和4年4月1日から令和5年7月29日までの間に保存が行われる電子取引のタイムスタンプ要件について、従前どおり記録事項にタイムスタンプを付すことを可能とする経過措置)(大綱六納税環境整備5その他(国 税)(7) )


この場合は、授受後にタイムスタンプを付する要件になりますので、自社で対応が可能かどうかによります。可能な場合は、現実的には事務処理規程を作成して、最長2ヶ月+7日までに付す方の対応を選択するケースが多くなると想像しています。


■次に掲げる要件のいずれかを満たすシステムを使用して取引情報の授受及び保存を行う(規4条①)

訂正又は削除を行った場合これらの事実内容を確認できる(規4条①
 
例えば、記録事項を直接に訂正又は削除を行った場合
 訂正前又は削除前の記録事項、訂正又は削除の内容が、その記録又はその記録とは別の記録(訂正削除前の履歴ファイル)に自動的に記録されるシステム等をいう
 事後において、その内容を検索、閲覧及び出力を行うことができる必要がある(通7-4)

訂正又は削除を行うことができない
 
例えば、記録事項に係る訂正又は削除について、物理的にできないシステム等をいう(通7-4)


こちらは文言どおり、訂正・削除ができる場合はその状況が確認できることが必要という理解になると思います。
対応可能なシステム導入ができるかどうかにより判断をする形になると考えられます。


■正当な理由がない訂正、及び削除の防止に関する事務処理の規程を定め、その規程に沿った運用を行い、電磁的記録の保存に併せて規程の備付けを行う(規4条①)

例えば、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める内容を含む規程がこれに該当する(通7-5)

例1:自らの規程のみによって防止する場合
   ・データの訂正削除を原則禁止
   ・業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合(例えば、取引相手方からの依頼により、入力漏れとなった取引年月日を追記する等)の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録、及び保存)
   ・データ管理責任者及び処理責任者の明確化

例2:取引相手との契約によって防止する場合
   具体的な例としては「電子取引の種類を問わず、電子取引を行う場合には、事前に、取引相手とデータの訂正等を行わないことに関する具体的な条項を含んだ契約を締結すること」等の条項を含む規程が考えられる
   ・取引相手とデータ訂正等の防止に関する条項を含む契約を行う
   ・事前に上記契約を行う
   ・電子取引の種類を問わない


保存処理の関与者が限定されている企業については、事務処理の規程を定める要件を選択することも多いと想像されます。
その場合、電子取引の要件を満たすように保存までの流れも含めた規程の作りこみが肝になると思います。
国税庁のホームページにサンプルが公表されていますが、実際の流れを想定して、一度その通りに進めてみて、煩雑にならないように改善を重ねていく形になるでしょうか。


関連条文等

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則第4条1項

電子帳簿保存法取扱通達4-29、7-2、7-3、7-4
(電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明))

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問37

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】問25

令和4年度税制改正大綱六納税環境整備5その他(国 税)(7) 

参考資料(各種規程等のサンプル)

おわりに

タイムスタンプやシステムを利用する場合と比べてスタッフの手間や管理が多く発生すると考えられます。
システム利用費用と、スタッフの人件費+その時間でスタッフが売上に係る労働が可能になる場合はその付加価値、の費用の金額や今後の収益増加につながる付加価値なのかなど、事業計画を考慮して検討されるとよいかもしれません。

しっかりとした事業計画を策定する機会になり、事業が継続・発展していくきっかけと捉えるのもよいでしょう。

「タイトル未設定」という表示になっているサイトもありますが、PDFはこのように表示されるみたいで、公的なサイトになりますので、ご安心いただけましたらと思います。

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