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改正電子帳簿保存法[令和4年1月1日施行]電子取引(3)-留意点1-

電子取引の書類保存に関して、電子帳簿保存法取扱通達7-1にいくつか留意しておいた方が良いと思われる点がありましたので、ピックアップしてみました。


ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力されるもの


暗号化されたものではなく、受信情報にあってはトランスレータによる変換後、送信情報にあっては変換前のもの等により保存する

※トランスレータとは、CIIシンタックスルールに基づいて開発されたメッセージと、各企業の情報処理システムに固有なフォーマットのデータを、相互に変換するソフトウェア

受信データを自己の複数の各業務システムに分割して引き継いでいるような場合、その分割前の変換直後のものが保存すべきデータとなる


取引情報の授受の過程で発生する訂正、又は加除の情報を個々に保存することなく、確定情報のみを保存することとしている場合


これを認める

訂正又は加除のデータとは、確定データに至る前の情報をいう
※例えば、見積書の場合、前の見積金額を変更して、新たな見積金額として確定する場合、各々の見積金額が確定データとなり、最終的に合意に至った見積データのみを保存するのではなく、各々の見積データを保存する


記録は、あらかじめ授受されている単価等のマスター情報を含んで出力される


個別の見積りや発注ごとに送受信せず、あらかじめ合意した内容のデータ(例えば、単価データ)を最初にまとめて送受信し、双方でデータ変換をするときにこれをマスター情報として利用している場合
記録はマスター情報により補完された状態でディスプレイ等の画面、書面に出力されること


見積りから決済までの取引情報を、取引先、商品単位で一連のものに組み替える、又はそれらの取引情報の重複を排除するなど、合理的な方法により編集(取引情報の内容を変更することを除く)をしたものを保存することとしている場合


これを認める

データ保存の形態は、例えば、
・見積依頼データと見積回答データについて別々に保存する場合、又は双方を一緒にして保存する場合
・見積回答データのみを保存する場合
・見積りから決済までのデータを取引先や商品単位で一連のものに組み替えて保存する場合 など、
合理的な方法により編集(取引内容を変更することを除く)をしたものを保存することとしている場合、認める

業務システムのデータを編集して送信している場合
その編集前の業務システムのデータを保存する方法、又は受信後の業務システムに引き継がれた後のデータを編集して保存する方法は、相手方と送受信したデータとはいえないから認められない


EDI取引において、記録により保存すべき取引情報


一般に「メッセージ(EDI取引で交換されるデータの単位)」と称される見積書、注文書、納品書、支払通知書等の書類に相当する単位ごとに、一般に「データ項目(データ要素(データエレメント)ともいい、業務処理上での意味ある情報の最小単位。)」と称される

注文番号、注文年月日、注文総額、品名、数量、単価及び金額等の各書類の記載項目に相当する項目となる


必ずしも、相手方とやり取りしたデータそのもののみしか保存が認められないとは解されない

[お問合せの多いご質問(令和3年11月)電取追2]


例えば、EDIの取引データをXMLデータでやり取りしている場合
当該XMLデータを一覧表としてエクセル形式に変換して保存する場合は、その過程において取引内容が変更される恐れがなく合理的な方法により編集したものと考えられるため、当該エクセル形式のデータによる保存も認められる

(授受したデータを手動により転記して別形式のデータを作成する場合、取引内容の変更可能性があることから、当該別形式のデータは合理的に編集したものに当たらない)


取引先等とデータでのやりとりのうち、取引情報(受領・交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項)が含まれるデータ

[一問一答問24][お問合せの多いご質問(令和3年11月)補1]


全て要件に従ってデータのまま保存する


電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存媒体について

[一問一答問15]


保存義務者が任意に選択できる
(記憶媒体や保存すべき電磁的記録を限定する規定はないため)


各税法に定められた保存期間が満了するまで保存する必要がある
[一問一答問4]


データとは別に、電子取引データと内容が同一の書面の請求書や領収書等を原本として受領している場合

[一問一答問4][お問合せの多いご質問(令和3年11月)電取追1]


書面の請求書や領収書等を原本として取り決めをしているものを受領している場合、その原本(書面)を保存する必要がある

取引において、通常、請求書は一つであるから、正本・副本がある場合その正本を保存すれば足りる

書面で受領した取引情報に加えて、その詳細をメール本文で補足している場合等、当該電子データに正本を補完するような取引情報が含まれている場合等には、正本である書面の保存に加え電子データの保存も必要


消費税の仕入税額控除は、帳簿及び請求書等(書面)の保存が必要であるが、取引金額が3万円未満の場合や、3万円以上でも「電子取引」のようにデータのみが提供されるなど、書面での請求書等の交付を受けなかったことにやむを得ない理由がある場合

[一問一答問4]


帳簿のみを保存することにより仕入税額控除の適用を受けることができる

令和5年10月以降、帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができるのは、法令に規定された取引に限られ、「電子取引」の場合に仕入税額控除の適用を受けるには、軽減税率の対象品目である旨や税率ごとに合計した対価の額など適格請求書等として必要な事項を満たすデータ(電子インボイス)の保存が必要となる

電子取引の記録を出力した書面等は、保存書類(国税関係書類以外の書類)として取り扱わないが、消費税法上、電子インボイスを整然とした形式、明瞭な状態で出力した書面を保存した場合、仕入税額控除の適用を受けることができる


引用サイト:電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)

引用サイト:電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

引用サイト:お問合せの多いご質問(令和3年11月)

おわりに

現状の取引の中で、実際にどの取引が発生した際に注意をした方が良いのか、理解をして、判断ができるようにしておくと良いでしょう。

この辺りは、規程や社内マニュアル・ルールを整備しておくと管理がしやすく漏れもない形になるかもしれません。いずれにしても、しっかりとした管理に向かって動いていくことになるものと考えています。

この改正の情報を基に自社の管理体制を見直す機会になると良いと考えて、まずは理解を進めてみるのはいかがでしょうか。

今後、ペーパーレス社会がますます広がっていくことを想定しますと、2年間の経過措置に関わらず、体制構築をしていくことは社会的にも良い方向と考えています。

随時更新をしていきますので、引き続きご覧頂けますと嬉しいです。

なお、「タイトル未設定」という表示になっているサイトもありますが、PDFはこのように表示されるみたいで、公的なサイトになりますので、ご安心いただけましたらと思います。

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