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大規模漏水発生 のつづき フロント不在で対処できる?

のつづきです

新人管理組合理事長はひたすら震えていました
自分の知識がないことをこんなに後悔したことはありません
(管理会社がきちんと対応してくれたら知識がなくても大丈夫です。これはレアケースです)

まず、2階の店舗の床を剥がして調査をするために店舗責任者に許可を取らなければ何も進みません
そのためには床の現状復帰費用負担は誰の責任になるのか、それを誰が知っているのか、と考えました

管理会社は×
設備会社は設備のことは詳しくても管理の専門的知識のことは×

保険会社は…管理のことは知らなくても保険対応ができるかは教えてくれる!

すぐ担当者に連絡をとりました。管理組合は共用部に保険をかけているのが普通で、区分所有者は専有部に保険をかけ、テナントが入っていればさらに保険をかけているはず…

保険の内容にもよりますが、マンション管理組合の保険には付帯事項で漏水調査費用がついていることがあります

漏水は原因がわからず調査を始めることが多いので、漏水調査の費用を保険で請求する場合にはほとんどの場合、結果原因箇所が専有部でも共用部でもその調査費用は保険請求ができます

ただ復旧費用は厳密にはやはり加害者負担になってきます

とりあえず、漏水原因が共用部であれば全て管理組合負担でできますが、もし専有部なら復旧費用はご負担いただくことを説明しました
店舗責任者は加害者が管理組合だと思っているので、床を剥がし調査する了承を得ることができました


結果原因は専有部の工事不良。それでも管理組合の責任として工事不良を認めない店舗責任者、テナントも区分所有者も保険未加入、管理会社からの謝罪…などその後も色々ありましたが長くなりすぎるので割愛します


(必要箇所への立ち入り)
第23条 前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
2 前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。
3 前項の場合において、正当な理由なく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。
4 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。

標準管理規約

漏水対応には専門的知識が必要です
設備会社が漏水原因を突き止めたとしても、その箇所が専有部なのか共用部なのか経年劣化なのか過失なのかを把握していなければ、加害者の特定はできません

ですが特定できたところで終わりではありません
むしろ特定できてからの方がこじれる場合も多いのでやはり素人には対処することは難しいです

管理会社がマンション管理業者であれば必ず管理業務主任者の資格を持つ人がいるので、当事者への聞き取りや設備業者からの報告を受けて、法律や管理規約と照らし合わせ、責任の所在を特定し対応をしてもらうことになります

管理組合として理解しておかなければならないのは、漏水などの事故の対応には、これ以上被害を拡大させない迅速な対応と、判断に至るまでの慎重な調査・管理会社の専門的知識・交渉が必須であるということです

管理組合は管理委託契約の内容以上のことを管理会社にお願いしなければならない場合も出てくるかもしれません
もしこれ以上の対応はできないと断られてしまったら、いち管理組合員が上記の対応をすることができるでしょうか

管理組合は、管理会社をうまくコントロールし、最善の仕事をしてもらえるようにしなければなりません


とはいえ、漏水などのトラブルが発生した場合にプラスになる要素もないわけではありません
うまく事を運ぶことができれば区分所有者同士のつながりを強くできたり、管理会社や協力会社の対応力がわかるので信頼できるか見ることができます

事故がきっかけで大規模修繕に前向きになる区分所有者も多いので、そういうトラブルをうまく生かすことができれば修繕委員会の立ち上げにつながったり大規模修繕の理解も深まり計画が進めやすくなるのではないでしょうか

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