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都市をオール電化しつつあるノルウェー・オスロに学ぶリスク

「クーリエジャポン」の記事に、都市をEV化したノルウェーについて書かれたものがありました。

ノルウェーは「EV先進国」で、新車販売の80%はEVなのだそうです。2025年にはガソリン自動車の販売を終了する予定。

こうした動きは、2030年までにゼロエミッション国家になるための施策ということです。

ゼロエミッションとは、1994年に国際連合大学が提唱した「廃棄物のエミッション(排出)をゼロにする」という考え方のこと。

廃棄物を「出さない」ではなく、ほかの産業などが再利用することで「埋め立て処分量ゼロ」にするという理論です。

埋め立てをせずに廃棄物を処理すれば、その処理の際にCO2が排出されて、地球温暖化を促進させることになります。

化石燃料を燃やして動力に変換するだけのガソリン車ではなく、自然エネルギーを利用できるEVのほうがゼロエミッションである、という理論なのですね。

そこでノルウェーの話。

この記事では、光と影、EV化をめざしている現状の「負の部分」について触れています。

まず、電気自動車用の充電スタンドが大行列になっているということ。

これはインフラとしての給電方法がまだまだ開発の余地があることを示しているのでしょう。走行距離の長距離化や急速充電の技術があれば、徐々に収まるはずの課題と言えるかもしれません。

もちろん、過渡期にこうしたフラストレーションが重なれば、普及の障害になるので、おざなりにはできないと思います。

また、ガソリン車とディーゼル車が減ったことで、騒音が減り、空気もきれいになったのではないかと思っている人もおおいかもしれません。

ところが、電気自動車はガソリン車より(バッテリーの関係で?)重くできているため、タイヤとアスファルトの摩擦によって微細な粒子がより多く生じる可能性があるとのこと。

すでにこの粒子の数値はオスロ市内で悪化しているというのです。

こうした問題に対し、オスロの副市長は、公共の充電スタンドの増設だけでなく、歩行者や自転車に乗る人のスペースを確保、市内の交通量を3分の1まで作戦することも必要としている。つまり、EVにシフトするのではなく、総量規制をして人に優しい都市をめざす、そのためには自転車もいいよね、というスタンスなのですね。

記事の後編は、ノルウェーが温室効果ガス削減への努力を続ける一方で、原油とガスの産出国であることに言及しています。

ようするに、「汚染を輸出している」というわけですね。

これに対して、緑の党は2035年までに原油と糟の生産を廃止する目標を掲げています。緑の党にはオスロ副市長が所属しているので、市としての公約とも取れますが、ノルウェー政府としては輸出高25兆円になる原油とガス生産を諦めるようすはないとのこと。

雇用問題に関しては、失業が増えることもなく、ガソリン車分野からEV車分野への転職も難しいものではないことが多くの事例で明らかになっているそうです。

また、バッテリーのリサイクルなど電気自動車業界が新たな職を生み出しているとも。

本陣であるEV車業界に関しては、国内メーカーの順調な転換に対して、やはりテスラが脅威になっているとか。

国を支える産業のひとつである自動車業界だけに、かんたんにシフトチェンジできるわけではないのでしょう。でも、時代は確実に動いているわけなので、課題をコツコツと解決しながら、進むべき道を探っていくしかないのかもしれませんね。

EV車の充電器については、マンションの共用駐車場に設置する方法などのセミナーを受講したことがありますが、補助金などを活用しないと導入はかなりハードルが高いように感じました。

機械式駐車場は管理の手間も費用もかかって、マイカー離れが進んで空きスペースが増えると、そうしたシフトチェンジを考えなければならなくなるわけです。

ノルウェーの事例は参考になればと読み始めたのですが、やはり一気に振り切ってしまうのは難しいのだというのが正直なところ。

なおかつ、日本は輸出できるエネルギー資源がないので、輸入を前提にエネルギー問題を考えなければなりません。

ハイブリッドという折衷案にしても、どれをどのバランスでというあたりを考えなければなりません。悩ましいところです。


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