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本当か?と思う漢方の謎のひとつに、”形象薬理”があります。

形象薬理はそのものの見た目が効果を表す、というものです。臓器などに似た形の食べ物はその臓器に良いと考えます。

例えば豆が腎臓によい、クルミが脳によい、海藻が髪にいいだとか。これがなかなか馬鹿に出来ず、豆は余分な水を体から排出してくれますし、クルミは脳に良いオメガ3の油を含みますし、海藻のミネラルは髪の成長に欠かせません。

生薬も同じように見た目からわかる効果もあります。例えば杏仁はハート型なので心臓の薬として使われます。面白いところで、釣藤鈎はかぎのような形をしているのでなんでもひっかかってくるタイプの人をマイルドにするなどと言われています。

形だけではなく色も重要で、覚えておくと養生の参考に。赤は特に、血に関連します。赤い食べ物、牛肉やマグロなどの赤身肉や、イチゴ、人参、枸杞は血を補うと考えられます。生薬でも紅花、赤芍薬などは血の流れに働きかける力があります。特に明るい赤みの紅花は表である皮膚に渋い赤みの赤芍は裏の内臓に働きます。

また、重いものは下に、軽いものは上に。蘇葉、薄荷、辛夷、紅花などふわふわした生薬は顔周りに、牡蠣、竜骨など重い者は腎など下肢に使われます。

もともとの植物がもつ性質も大切。葛根湯で有名な葛根はツルをのばすマメ科の植物です。下から水を引き上げるツタのように、葛根は人の首周りのとどこおりを取り去ります。茯苓や猪苓など、菌糸体・きのこ類です。キノコは湿気の多い場所で水気をすって大きくなる性質を持つので、生薬としても体内のよぶんな水を吸い取るような働きを持ちます。水辺でとれるもの、亀やレンコンなどは冷やす効果を持ちます。

形象薬理とは違うかもしれませんが、美人の形容で使われる牡丹・芍薬・百合は全て生薬として活用されています。牡丹・芍薬は特に婦人科の重要薬。

形象薬理と似た考えに”似類補類”という言葉も。似た臓器はその臓器を食べることで補うという考えです。コラーゲンを食べるとコラーゲンプルプルに、レバーが肝臓に良いなどです。

全てが全て形通り、と言うわけではありませんがそんなことを考えつつ生薬のことや食材のことを考えることは楽しいものです。

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