OKR ~シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法~ を読んで

OKR~シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法~を読んだので感想を。

結論から言うと、良書だった。OKRの説明はもちろん、目標設定と運用には何が必要なのかと言うことが書かれている本だった。目標とはフォーカス。運用は、目標に関連したことを行う。事象追随的に仕事をするのではなく、目標から逆算して行う。そうすれば、「緊急度が高いが重要ではない」ことにリソースを割かなくて済む。逆に言えば、「目標からの逆算」を取り入れた場合、目標が正しくなければチームとしてパフォーマンスを出すことは難しい。目標設定の重要さはここにあるのだ。

ゴールを目指せるシステム

あなたのチームが常にゴールを目指せるようなシステムが必要だ。著者の用いるシステムは3つのシンプルな部分でできている。

1. 人を鼓舞し、効果を測定できるようなゴールを設定すること

2. やることが他にどれだけあっても、自分とチームが常に望ましい最終形態に向けて進むようにすること

3. チームのメンバーが目標を忘れず、各メンバーが責任を自覚できるような習慣を作り出すこと

そのシステムの1つとしてのOKRがある。Objectiveは目標、Key Resultは主な結果。数字にこだわらない人を鼓舞して動かすのがO。数字にこだわる人に対して、Oの現実味を示してくるのがKRだ。朝ベッドから飛び起きて、やる気が湧いてくれば、いいOを設定できているということだ。

習慣

毎週、週の初めに優先事項を設定し、公表するのも効果的だ。Oを実現できるよう、チームと他の社員に対してコミットする。毎週金曜日に、その週に達成したことを讃えて、1週間を締めくくる。

このコミットとお祝いのペースによって、実行の習慣が作られる。

金のリンゴ

スタートアップ企業はみんな金のリンゴでつまずく。重要な会議で講演をするチャンスが舞い込むかもしれない。大口の顧客が自社のために、ソフトウェアを改良してほしいと依頼してくるかもしれない。スタートアップのライバルは時間だ。そして、時宣を得た実行のライバルは「脱線」だ。

適切なゴールを設定して、毎週ゴールを目指して仕事をし、目標達成するたびに祝えば、企業は一直線に成長する。

なぜ、やり遂げることができないのか

5つほどの理由がある。

1. ゴールに優先順位をつけていない

「なにかも重要であることは、なにも重要ではないことと同じ」

多くのゴールがどれも同じくらい重要に見えることはあるだろう。しかし、同じくらい重要に思えたとしても、優先順位をつけることはできるだろう。そうしてひとつずつ処理すれば、成功する可能性はずっと高くなる。

Oはひとつだけ、その目標を測定するKRを3つだけ設定することで、大きな目標を実現するために必要なフォーカスを維持できる。

2. 熱意をもってもれなくゴールを伝えていない

「言い疲れた頃に、人は耳を傾きはじめる」

チームでフォーカスするゴールを決めたら、毎日チームに繰り返し伝えなければならない。口頭で伝えるだけでは不十分で、職場生活のあらゆる側面にリマインダーを織り込む必要がある。

3. やり遂げるためのプランがない

やるべき仕事に意味を持たせ、疲れていても脱線しないようにするプロセスが必要になる。やる気が出ない時でも、やるべきことを思い起こさせてくれるプロセスだ。

4. 重要事項のための時間を空けていない

重要事項をやり遂げるには、時間をあらかじめ空けておくしかない。

5. 繰り返さずに辞めてしまう

もっともよくある失敗はフォローをしないというものだ。OKRを設定するだけして、残りの四半期の間、無視してしまう会社を星の数ほど見てきた。成功への唯一の望みは、繰り返すこと。何が機能するかしないかを念入りに観察し、機能する点を増やし、機能しない点を減らす。学ぶことが成功の肝なのだ。

成功への道

成功への道は複雑ではない。ただ、難しい。とても難しい。現実をみようともせず、貪欲に何もかもやろうとするのではなく、どのゴールが最も重要かを見極め、選ばなければならない。

自分の考えとメッセージを明確にし、全員が同じように理解できるまで何度も繰り返し伝えなければならない。ゴールを達成するために時間を咲かなければならない。

ミッション

良いミッションは、全社員が覚えていられるくらい短いものだ。優れたミッションは人を鼓舞し、それでいて方向性がはっきりしている。

ミッションは「私たちは<価値提案>によって、<市場>における<問題点を取り除きます/生活を向上させます>」。

ミッションさえあれば、四半期ごとのOを決めるのは簡単だ。無秩序に広がる可能性の世界に向き合う必要はなく、ミッションを前に進めるのは何かを話し合うだけでいい。

OKRの基本

・定性的で人を鼓舞するないようにする

・時間的な縛りを作る(例えば、1ヶ月・四半期)

・各チームが独立して実行できるようにする

チームのOはチーム内で完結し、「営業部のせいで達成できませんでいた」という言い訳が通用しない内容にしなければならない。

例1. サウスベイ区で、法人向けコーヒー小売直売市場を勝ち取る

例2. すばらしいMVPを立ち上げる

KRの基本

KRでは、感覚的な言葉(O)を定量化する。KRを作るには、「どうやってOを満たしたとわかるのだろうか」というシンプルな問いを立てる。そうすると、Oで書いた「すばらしい」「大成功」「勝利」といった表現の具体的な意味を定義することになる。

例1. 40%のユーザーが1週間に2回以上再訪する

例2. NPSが8を獲得

難しいが不可能ではないKRを設定する

自分のKRを見てみよう。「これを達成するにはあらゆる面でベストを尽くさなければならないな・・・」と腹の底がムズムズしてきたら、おそらく適切な目標だ。

プロダクトチームのOKR

初めてOKRを導入する企業は、機能別部署ごとにOKRを作成する傾向がある。例えば、デザイン部門はレスポンシブデザインへの移行を、エンジニアリング部門はアーキテクチャのスケーラビリティやパフォーマンスを。といった形だ。

その場合に問題になるのは、機能別部署に属する従業員が、職域を超えたプロダクトチームを構成しているということだ。プロダクトチームにはそのチームが担う製品に関連した目標(DAUの増加、オンボーディングの削減)があるが、チームの各メンバーには機能別部署のマネージャーに命じられた目標があるかもしれない。

機能別の目標は、それぞれ意義のある仕事かもしれないが、ビジネス上の問題解決につながる可能性は高くない。さらに、プロダクトチームのメンバーもどの仕事に時間を割くかで板挟みになり、その結果マネージャーもメンバーもフラストレーションが溜まって、残念な結果に終わるということもよくある。

しかし、この自体は容易に避けられる。

OKRをプロダクトチームのレベルにフォーカスすれば良いのだ。機能別部署ごとに大きな目標があるのであれば、それらは他のビジネス目標と合わせて経営幹部レベルで議論し、プロダクトチームの目標に組み込む。

OKRの実行を習慣にする

コミットメントとお祝いのリズムを作ることが重要である。

月曜のコミットメント

・今週の優先事項。3~4つ。

・今後4週間

・OKR自信度状況

・健康・健全性指標

これらを見ながら、優先順位を適正か、OKR自信度が下がっているのはなぜだろうか、従業員を追い込んでないかなどを話し合おう。

ミーティングの雰囲気をコントロールして、チームメンバー全員がコミットして共通のゴールを達成するために、互いに助け合うようなムードにしよう。

金曜は勝者のために

金曜のウィン・セッションでは、各チームが見せられるものをなんでも見せ合う。エンジニアは作業中のコードをデザイナーはモックやマップを見せる。

共有できることがチームの楽しみになる。

測定と学び

定量化可能なターゲットを測定する最大の効果は、結果を評価しやすくなるとともに、結果から学びやすくなることだ。

よくあるOKRの失敗例

・四半期ごとのゴールが多すぎる

・目標に数字を入れてしまう

・自信度レベルの設定を忘れてしまう

・月曜日に4つの四角形を状況報告につkってしまう

考えたこと

・本当に自分たちの目標は、ヒリヒリするレベルのものだろうか。ちょっと頑張れば達成できる気もする

・機能別の話。まさに起こりそうな気がする。実際にどの程度のインパクトがあることなのかの認識は合わせたい。

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