スマホ脳を読んで

アンデシュ・ハンセンのスマホ脳を読んでの感想。結論から言うと、面白く、そして役に立つ本だった。この本を読んで、スマホを別の部屋におく、外出するときはスマホを持たずに出るなどを試してみた。結果有効で、以前より集中力などが上がった感覚がある。

そして、本書を読んで、私たちの「自由意志」は意外と幅を利かせていないと言うこともわかった。人類がスマホを好きなのは、「ドーパミンが出る仕組みがあるから」であって、その仕組みにはまってしまうような環境下では、その衝動に抗うことは難しいのだと。我々は自由意志だと思って行動しているが、実際にはそうではないことも多いのだと。自分は「自由」に対しての向き合い方をまだ決めきれてはいないが、自分の行動が「操作」されることも多いのだと知れたのはよかった。「操作」された行動は後悔を生むときがある。どういったときに操作されるのかを知って、自分の行動を作っていきたいと思った。

また、生活面の話をすると、

・マルチタスクはやめる

・あらゆる通知を切って、集中して考えられる時間を作る

ことをしていきたいと思った。仕事中、どうしてもチャットの更新を追うだけになってしまったり、来るメッセージに反応するだけになりがちだが、確認する頻度を決めて、集中できる環境を作ることは本当に重要だと感じた。また、マルチタスクをできるだけやめて、一つのことに集中したい。

以下、要約。

前書き

心の不調で受診する人が、ここ10年で著しく増加している。特に若い人の間でだ。

本書は、人間の脳はデジタル社会に適応していないということを示す。人間は狩猟と採集をして、暮らしてきた。私たちの脳は、当時の生活様式に最適かされており、脳は1万年変化していない。

フェイスブック、インスタグラムなどのテック企業は、近年、脳の報酬系をハッキングしてきた。これらから身を守る術も、本書では紹介されている。(精神的な不調から身を守る3つの要素がある。睡眠、運動、他者との関わりである)

そして、金儲けのために人間の特質を利用するのではなく、もっと人間に寄り添う製品が増えることを願っている。

人類の歴史と脳の仕組み

人類はスマホなしで、歴史を作ってきた。20万年の歴史がある。それに比べて、スマホ登場はごくごく最近。ここ10年の話だ。

あなたや私は、目的・意義も存在しないプロセスである進化の産物である。進化とは、今いる環境への適応である。クマの例を用いて説明しよう。

アラスカのクマは、もともと茶色だった。しかし、背景が白(雪)であるアラスカでは、茶色のクマは獲物に見つかりやすいという難点があった。そんな時、たまたま突然変異が起こる。白いクマが生まれたのだ。白いクマは、獲物を捕らえやすく、生存可能性が茶色のクマよりも高くなる。そうすると、白いクマの方が子孫を残す確率が高くなる。こうして、1万年~10万年という非常に長い時間をかけて、アラスカのクマは白色に変化した。

では、現代の人間の脳は、どのような環境への適応を意図して進化したのか。答えは、サバンナ時代の狩りを行なっていた環境にだ。

カロリー欲求は、サバンナでは生き延びるのを助けてくれた。しかし、飢えのリスクがほとんどない現代においては、適していない。このように、益を生んでいたメカニズムが、環境変化によって、突如害を起こすことがある。

精神面もそうで、かつては多くの人が猛獣に食べられる世界であった。危険に対する不安は生命の危機に直結した。しかし、現代ではそうではない。

私たちは、今とは異なる環境に適応するように進化していて、現代社会にはあっていないのだ。

感情とは何かについても説明しておこう。

感情とは、「正しい方向」に自分を動かすものである。ただし、生き延びて遺伝子を残すという観点で。そのため、精神状態が良くなったり、キャリアップのためや、健康のためではない。

感情とは、自分を取り巻く環境への感想ではない。周りにで何が起きてるかに応じて、身体の中で起きる現象を脳が反応としてまとめたものである。

決断を下す時に、私たちを支配するのは感情である。脅かされると、怯えるか怒るか逃げるか攻撃に出る。決断に時間がかかる場合、脳が概算し、感情という形で回答を返す。

感情が湧くことで、身体と脳に連鎖反応が起きる。感情は、思考プロセス・周囲の解釈法にも影響を与える。例えば、恐怖を感じたときは脳はコルチゾール・アドレナリンを放出する。身体は、心臓が早く打つように変化し、筋肉に血液が送られる。これは、逃げたり攻撃する際に、Maxの力を発揮できるようにするためだ。

ネガティブな感情はポジティブな感情より影響力が大きい。脅威への対処は生存にとって最優先だから。そのため、強いストレスや心配事があると、それ以外のことを考えられなくなる。

感情だけではなく、ストレス・恐怖・鬱にはそれぞれの役目がある。

まず、ストレスとは何か。ストレスは、以下のような仕組みで発生する。まず、視床下部から下垂体に信号が送られる。そうすると、副腎に「コルチゾールを出せ!」という命令が送られる。コルチゾールは、エネルギーを集めて、心臓の拍動を強く速くする。ストレスを受けたときは、闘争か逃走のいずれかである。いずれにせよ、筋肉には大量の血液が必要だ。

サバンナにおいては、危険は瞬時の反応を求めるものだった。しかし、現代においては、命に関わるレベルの心配はない。しかし、長時間継続することが多いのが特徴だ。

長時間にわたって、ストレスホルモンの量が増えると、脳はちゃんと機能しなくなる。まず「闘争か逃走か」の状態が続くと、この2つ以外のことを全て放棄するようになる。睡眠は後回しになり、消化も後回しになり、と言ったように。適度なストレスは精神を研ぎ澄ますが、度がすぎると脳は明瞭に働かなくなり、怒りやすくなる。また、ストレス下では「長期記憶の保存」の優先度も下がる。長期記憶とは、海馬が出来たばかりの記憶回路を通じて信号を送ることで作られるが、ひどいストレスを受けているとその余裕がないのである。

では、どういう時にストレスが発生するのか。それは扁桃体が決めている。扁桃体の役割は、周囲の危険に目を配り、小さなことでも警報を鳴らすことである。いわゆる「火災報知器の原則」で、間違えて鳴ることもある。

扁桃体は常にONになっていて、無意識のうちに周囲に気を配っている。そのため、あらゆるものに反応してしまう。外での大きな音、会議の遅刻、いいねがつかないなどだ。ただし、タバコの箱やシートベルト非着用には反応しない。進化の観点で見えると、ヘビやクモは人間の命を奪ってきたが、タバコが登場したのはごく最近だ。タバコにはまだ適応していないのである。

不安は、脅威になりうるものに対して起こる。不安は大事な計画を立て、集中するのを助けてくれる。しかし、現代では不安やストレスのシステムが無駄に作用することが多い。命の危険がないのに、間違えて起こる。例えば、気になる女の子が期待通りにチャットの返事をくれないなどでも起きてしまう。

もし脳が現代社会に完璧に適応していれば、我々は長期ストレスのおかげでさらに実力を発揮できるようになっているだろう。なぜなら、現代のストレスは、頭をかぶっていたところで(逃走したところで)解決しないことが多いからである。(あふれかけたメールボックス、難航するビジネス)

鬱を含め、ストレス関連の苦しみは、治療よりも予防の方がずっと簡単だ。そのため、ストレス症状があったら気づくことが大切である。

コラム:人まで喋る恐怖

周りの評判がきに鳴るのは、遺伝子に組み込まれていることらしい。かつては「共同体から追い出される」ことは死を意味していた。そのため、我々は周囲の人から評価を下されること自体にストレスを感じるのである。現代では、会社をやめても死ぬことはない。これも、脳が現代社会に適合していない一例である。

スマホは最新のドラッグ

今、みんなスマホに夢中だ。朝起きたらすぐに触り、寝る前もベッドでスマホを触ってしまう。

これは、ドーパミンのせいである。

ドーパミンは、「何に集中するか」を選択させる働きを持つ。お腹が空いた時にテーブルに食べ物があったとき。私たちは、食べ物を見るだけで、ドーパミンが増える。ドーパミンがもっとも増えるのは、食べている最中ではない。食べるという選択をさせるために、ドーパミンが「さあ、これに集中しろ」と指示を出してくるのである。

ドーパミンは、生き延びて遺伝子を残せるように、人間を突き動かす。食料、他人との付き合い、セックスなどに関連して、出てくる。そして、近年スマホも発生源に加わった。スマホは、脳の報酬システムの基礎的なメカニズムをダイレクトにハッキングすることで、ドーパミンを生む製品となったのだ。

脳は、新しいことを学ぶとドーパミンを放出する。現代では、PCやスマホがどんどん新しい知識や情報を運んでくる。スマホのページをめくるごとに、脳はドーパミンを放出する。そのため、私たちはクリックが大好きになる。そして、今読んでいるページより、次のページに夢中になっているのである。

報酬システムが激しく作動するのは、何に対してか。実は、お金、食べ物などの報酬そのものではなく、報酬への期待に対してだ。「起こるかも」という期待が、ドーパミンを放出させる。スロットやカジノにはまる理由はそこにある。スマホの通知も、「大事な連絡かもしれない」という期待から、通知音を聞いたときに、ドーパミンが増えている。

FacebookやInstagramなどのSNSは、この仕組みを利用している。ハートマークをつくのに意図的に保留し、報酬系が最高潮になるのを待っている。彼らは、行動科学や脳科学の専門家を雇っている。

会社である文章を書いてる最中だとしよう。チャットの着信音が聞こえ、スマホを手に取りたい衝動にかられる。何か大事なことかもしれない。やはりスマホを取り、ついでにさっきフェイスブックに投稿した写真新しい「いいね」がついてないかを素早くチェックする。すると、あなたの住む地域で犯罪が増加しているというリンクがシェアされている。その記事をクリックし、数行読んだところで、今度はスニーカーのセールのリンクが目に入る。それにざっと目を通そうとするが、インスタグラムに新しい投稿をしたという通知に中断される。​さっきまで書いていたのは、すでに遥か彼方だ。

これらは全て、脳が通常通り機能しているだけである。ドーパミンによって、興味の対象がどんどん移り変わっているのである。

集中力こそ、現代の貴重品

人間はマルチタスクが苦手だ。得意だという人は、自分を騙しているだけ!

現代のデジタルライフでは、複数のことを同時にしようとしがちだ。スマホを見ながら、食べる。音楽を聴きながら歩くといったように。

ある実験があり、マルチタスク派の方が集中が苦手であることがわかった。中でも、重要ではない情報を選別し、無視することができなかった。

私たちは、一度に一つのことにしか、集中できない。複数の作業を同時にこなしていると思っていても、実際には作業の間をいったりきたりしているだけである。マルチタスク中は、集中の対象を2つの間でパッパッと切り替えている。問題は、脳の注意がさっきまでの作業に残っていること。集中がメールに移っても、しばらくの間脳の処理能力の一部は講義にある。これを注意残余と呼び、ほんの数秒メールに費やしても、実際に犠牲になるのは数秒異常である。また、集中する先を切り替えれば、再び元の作業に100%集中できるまでには、何分もかかる。

しかし、厄介なことにマルチタスクをしていると、ドーパミンが出る。祖先が、このようにあらゆる刺激に迅速に対応するためである。

マルチタスクは集中力低下だけではなく、ワーキングメモリにも影響を与える。ワーキングメモリとは、記憶の一時保存場所で、数値であれば6~7桁を覚えることができる。マルチタスクを頻繁にやる人は、ワーキングメモリが劣るという実験結果がある。

スマホは、存在そのものが集中を邪魔する。ポケットに入るだけで、「スマホの無視」に知能の処理能力が使われてしまうのでだ。

ここで、凄まじい量の情報にさらされると、筋トレみたいに集中力が高まっていくのではないか?という疑問も生まれる。答えは逆だ。多くの情報にさらされるごとに、どんどん注意散漫になり、気を散らされることに脆弱になる。

手書きメモはPCより、内容理解の面で、勝るらしい。手書きは、PCほど早くかけないので、情報処理をしながら書いていく必要があるからだ。

長期記憶には、集中が必要である。何かを学ぶことは、脳の細胞間につながりを作るということ。具体的には、新たなタンパク質を合成し、そこを通る信号を何度も流すと、つながりが強くなってくる。新たなタンパク質を合成するためには、集中が不可欠で、「これは大事なこと」と脳に語りかける必要がある。これらの長期記憶の作成は、脳にとって最もエネルギーを必要とする。これらは眠ってる間に行われるため、後述するが記憶にとって睡眠は重要である。

SNSは、スクロールするたびに邪魔が入り、集中を妨げる。そのため、デジタル上での情報収拾は基本的に非効率になりやすい。ドーパミンが出ているから、私たちは好きだと勘違いしているが。

グーグル効果、別名デジタル性健忘とは、別の場所に保存されているからと、脳が自分では内容を覚えようとしない現象である。写真をとった風景は、それほど自分の記憶には残らない。では、知識は不要なのか?必要である。私たちは、情報を固定化させる(知識として習得する)ことによって、情報を個人的経験に結びつけて考えられるようになるのだ。(個人memo: ここよくわからないけど、要は知識として持っていないと、統合的に考えられないということだと思っている。ワーキングメモリの領域が限定的なので、複数のことを統合的に考えるには、すでに知っていることを圧縮して持っている必要がある。そして、そういう圧縮して持つこと、簡単に素早く取り出せる状態になることが「知識を得る」ということなのではないか)

話しているときに、スマホが視界にあるだけで、会話が楽しくないと感じられる。相手を信用しにくく、共感しにくいと捉えるようになる。これは、ドーパミンがスマホに注意を向けるようになるからである。

スクリーンが、メンタルヘルス・睡眠に与える影響

熱心にスマホを使う人ほど、ストレスの問題を抱えている率が高いという。ただ何より、影響を受けるのが睡眠だ。

ここ最近、よく眠れない人が増えている。必要とされる7~9hよりも短い時間しか寝てない人が急増しているのである。

私たちはなぜ眠るのか。実は、眠っている時も起きている時と同じくらい、脳はエネルギーを消費している。昼間壊れたタンパク質を除去しているのだ。

長期にわたる睡眠不足は、様々な悪影響をもたらす。病気のリスクを高めたり、人間の機能を低下させる。具体的には、1日6h以下の睡眠が10日続くと、24h起きていたのと同じくらい集中力は低下する。さらに、情緒も不安定になる。

また、睡眠不足は記憶にも影響をもたらす。知識を定着させる「固定化」は、熟睡時に行われるからだ。

ある実験で、迷路の解き方を覚えているかについて実験したことがあったが、ずっと起きてインプットしているグループと、インプットしたあと昼寝したグループでは、後者の方が成績が良かった。

スクリーンは、ブルーライトを発している。そして、ブルーライトは我々のメラトニンの分泌を抑えることで、睡眠を妨げる。メラトニンとは、体内リズムを管理している物質で、どのくらい光を浴びたかによって、分泌量が制御される。日中は少なく、夜になると増える。ブルーライトは、メラトニンの分泌を抑える働きがある。具体的には、2~3h、分泌するのを遅らせる。こうすると、体は今が昼であると勘違いし、眠れなくなる。また眠りの質も落ちる。

SNS

比較は喜びを奪う

会話の8~9割は、自分の話か、他人の噂話だという。ゴシップが人間を生き延びさせてきた。かつては、50~150人の集団で生活してきたが、全員と親しくなれなくても、それ以外の人に目を向けておく必要があった。

特に「悪い噂」を脳は偏愛する。悪い情報が生存にとっては、特に重要であったからだ。

人間は、他の動物と違い、本質的に社会性を有している。社会性のおかげで、個体では弱い人間は、お互いに協力して生き延びてこれた。

その社会性からか、多くの人はSNSに1日30分以上の時間を費やしている。これを、20~80歳で続けると人生の1.5年ほどをSNSに費やすことになる。

自分のことを話したいという欲求は、遺伝子レベルで組み込まれている。側坐核という、セックス・食事・人との交流する領域が、自分自身のことを話している時にも活性化することがわかっている。人間は、先天的に自分のことを話すのが好きなのである。

しかし、実際にはSNSを熱心に利用する人ほど孤独を感じている。現実に人と会う人ほどほど幸福感が増すと分かっている一方で、フェイスブックを使うほど、幸福感が減るのだ。

理由の仮説としては、「みんながどれほど幸せか」という情報を大量に浴びせられることで、自分は損していると感じるようになるからが挙げられる。この仮説はセロトニンからも説明できる。セロトニンは、心の平安、バランス、求心力に関わる物質である。ボスは、セロトニンが多い。ボスが交代すると、前任者はセロトニンが減り、新任者はセロトニンが増える。SNSで理想化された人生を見せられると、まるで自分が最下層にいるように感じ、セロトニンが減少するのではないだろうか。結果として、幸福感が減っているのではないかというのが仮説だ。

SNSが共感力を減らしているのではないかという議論もある。

私たちは、ミラーニューロンという、他者を模倣することで学習する脳の神経細胞を持っている。脳の複数の領域に存在している。そのうちの一つが、体性感覚野と呼ばれるもので、「他人がどう感じているか」を理解する役割を持つ。例えば、ドアに指を挟んだ人の写真を見ると、その人と同じような脳の活動が私たちの脳内に起こり、痛みまでは感じないまでも嫌な気持ちになる。これがミラーニューロンの働きである。痛みだけではなく、喜び・悲しみなども同様のプロセスを通じて感じることができる。

このように他人の頭の中を理解するには、鍛錬が必要である。人と対面やりとりすることで、経験を満たしていき、そうすることで徐々に相手の気持ちを推し量れるようになっていくのである。最大限にミラーニューロンを機能させるには、実際に会う必要がある。他人の表情・行動・仕草を繰り返し観察することで、経験が増えていくのである。

共感力は、80年代から下がってきている。以前より、ナルシストが増えているのである。これがSNSの影響であるのかは不明だが、対面で会う時間が減っているからではないかと考えられる。

SNSは中毒性を持つ。そのように作られているからだ。SNSは私たちの注目が商品である。アプリはスロットマシーンのように、下方向に引っ張ると新しい投稿が見られる。この時、更新に1秒くらいかかるのだが、これは技術的な理由ではない。不明確な状態にして、ドーパミンが最大限放出されるように作られているのだ。

(自分メモ: ここ文脈なく、急に入ってきた気がする)人類は、人間を「自分たちとあいつら」に分類することが得意である。特に見た目が異なる知らない相手に対する不安が湧く。実際、遺伝物質レベルで見ると、人類は99.9%が一致している。見た目の違いは、気候への適応に起因しているものだ。

SNSでは、フェイクニュースが蔓延しているが、フェイクニュースほど拡散されるというfactがある。フェイクニュースは、センセーショナルだからではないかと考えている。

バカになっていく子供たち

前頭葉は、衝動に歯止めをかけることができる。報酬を先延ばしにできるのだ。前頭葉が脳の中でも、成熟が一番遅い。25~30まで完全に発達しないのである。そのため、若者の方が依存症になりやすい。アルコールが未成年に禁止されているのも、これが理由である。そして、ドーパミンの放出が一番活発なのは、10代である。量が激しく増えたり減ったりするため、感情の振れ幅が大きい。

よくスマホを使う人は、衝動的で、報酬の先延ばしが苦手であることが分かっている。

運動という解決策

では逆に、脳を活性化させることはなんだろう。答えは運動だ。

全ての知的能力が運動によって、機能を向上させることが分かっている。集中できるようになり、記憶力も高まり、ストレスにも強くなる。

1日5分ほどの、たった少しの運動でも効果はある。

なぜ、運動によって知的能力が向上するのか。サバンナ時代から脳は変わっていないことが関係していると考えられる。サバンナ時代では、狩をする時に集中力が必要だった。そういう特質の人が生き残ったのではないかと考えられる。

心拍数が上がる運動によって、最大の効果を得る。とはいえ、あらゆる種類の運動が知能に良い効果を与え、散歩・ヨガ・ランニング・筋トレのどれでも効果はある。特に知的な処理速度、一番改善される。運動時間に関しては、週に2時間あれば良い。それ以上運動しても、さらに効果があるわけではない。

脳はスマホに適応するのか

脳は可塑性を持つ。ロンドンのタクシードライバーは、海馬が成長して大きくなることが分かっている。

成長もあるが、逆に使わないでいると、脳の一部が失われる危険がある。脳はエネルギーを節約しようとするからだ。

インターネットは、深い思考を拡散しない。表面をかすめて、次から次へと進む。

私たち人間は自然に幸せな気分にはならない。かつて生存のためには、「不安」が大切だったからだ。欲は一次的な幸せのみをもたらし、満たしても「もっともっと」となるようにできている。引き続き行動に出られるようにするためだ。現在の世界は、そんなことをしなくても安全に生きられるのに。

心の不調は、治療より予防の方がずっと楽だ。睡眠をとる、身体をよく動かす、社会的関係を保つこと、適度なストレス、スマホを制限が重要だ。

最後に、スマホに関する悪影響を見てきたが、何事も自然に近い方がいいというのは、思考の罠である。これを自然主義的誤謬という。避妊具やメガネはない方がいいのか。あった方がいい。

最後に

以下のことをやっていきたいと思った。

・運動を生活に取り入れること(楽しいやつ)

・マルチタスクをやめる習慣をつけること

・できるだけ、チャットツールを見ながら、仕事をしないようにすること

・スマホをできるだけ使わないようにすること

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