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オンライン一人芝居の裏話[解釈編]

こんにちは、会社員役者のかのんです。

先日、新作のオンライン一人芝居をお披露目しました。

ご視聴いただいた方ありがとうございます。

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オンライン一人芝居番組「モノステ」内で3度視聴者投票1位を獲得し、その特賞としていただいたのが今回の本。私の話をもとに日本随一のモノローグ作家である渋谷悠さんに新作モノローグを書いていただきました。

ヒアリングで話した内容は「強い女になりたい」

その言葉をもとに書いていただいたのが今回のお話でした。

本をいただいてから内容を読み込んでいくと、色々な解釈ができるお話で、おそらくストレートに読んでいくと一貫して強い女が甘えのある後輩を詰める話にも見えます。そんな中で今回私は、下記のように解釈してプランを立てました。


「小出ちゃんの嘘泣き」の"私"の解釈

私は今回、この作品の主人公をこのように解釈しました。

私は32歳、会社員。マーケティング関連のコンサル会社に勤めている。
仕事はそこそこできるようになってきて、部下や後輩も増えてきてある程度慕われている感覚はある。けれども、プライベートまで会いたいと思ってもらえるような関係性ではない。
パートナーはもう何年もいない。できる気配もない。
友人もいないことはないけれど、特段深い仲の友人はすぐに挙げられない。
ものすごくうまくいっていないわけではないけど、人生の満足度が低い。もっと明るい人生を夢見ていたのに。

最近、今一緒に仕事をしている後輩を見ていると、過去の自分を思い出してしまう。

20代の私は八方美人だった。嫌われる事が怖かったし、基本的にニコニコして、上辺な言葉を並べて、どうしようもなくて困ったときはすぐに泣き出していた。しばらくはそれでうまくできていた。はずだった。

年を取るごとにそれではうまくいかなくなってきた。人と深い付き合いができないし、少しづつ距離をおかれるようになってきた。後輩からも舐められがちだった。だから、強い女にならなければいけないと思った。

自分の弱さを隠すためにガードを張るように強く生きていこう。そう決めて、強い自分を作ってきた。それでもうまくいかない。変わらず深い人付き合いはできないし、私と一緒にいたいと思ってくれる異性もいなくなった。

今日もまた、上司からは数字のことで少し詰められ、その落ち込んだ気持ちを癒すこともできない。休憩時間にスマホを開いたら、昔仲良かった友達から結婚式のお知らせが届いた。あの子もついに、そうか。

私は、そこそこ仕事はできる。収入も同い年女性の平均よりもある。一人暮らし歴も長いから家事もできる。料理は好き。見た目もそんなにひどいモノではない。年齢もスペックはそんなに悪くないはず。それなのに、なんでこんなにも孤独なんだろう。

シーンの解釈

上記の私像の解釈をもとに、本のシーンはこんな風に解釈しました。

新しく始まった畳屋の案件は、過去の自分と重ねてしまう後輩と一緒。打ち合わせ終わりに会議室で後輩と会議の延長で会話をしている。そのうち、後輩は会議室を後にして、会議室に一人になった。

畳屋の話を考えながら自分の人生を反省する。
「あぁ、機能勝負、価格勝負に陥っていたのは私か」

後輩のいなくなった会議室。目の前にはパソコン。暗くなった画面に映り込んでいる自分の顔。さっきまでいた後輩と重ねて、過去の自分との対話を始める。

後輩に対して思うところを、愚痴るように画面に映る自分に投げかけていると、なんだか自分の悪い部分が浮き彫りになってくるようだった。もう戻れないのに、20代のあの時期をもっとこうしていたら、もっと今はいい人生になっていたのかもしれないと悔いてしまう。なんでこんなに不器用で、武器もないの。きっと魅力がないんだろう。だから売れないんだ。

弱い自分が嫌で嫌で、今日も強く壁を作る。

演出プランの組み方

そんなふうに解釈したため、この本はまず大きく2つのブロックに分けました。

"本当に後輩と話している時間"と"過去の自分と話している時間"

zoom芝居は画変わりがないと飽きられてしまいがちなので、それも含めて画面転換を考えました。後輩と対話しているシーンは、その先のネタバレにならないように目線を映さず、でも誰かと話しているようなアングル(手元)に。

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わかりづらいですがこのアングルは暖かみのある大きめの照明をつけていました。

そしてその後、一人のシーンになる。先ほどまで話していた後輩と過去の自分を重ね、画面に映る自分に言葉を投げ続ける。

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画面切り替えと同時に、1つ目のアングルで点けていた照明を消しました。

最後は、自分に強い言葉を投げ続けて、自分の弱さや欠点と向き合って苦しくなる。悲しくなる。やるせないし、悔しくなる。この人の弱さをわかりやすく表現するカットをラストに差し込みました。

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本当は照明など変えたかったのですが難しくて悩んでいましたが、00:00studioでの劇場化配信でいただいた案で、クシャクシャにしたビニールを被せました。


この記事をもとにまた見ていただけたら嬉しいです。そして感想や、「こうしたら良かったのに!」などご意見もいただけましたら幸いです。

細部のこだわりや、画面転換の仕方などはまた明日記事を書きます。





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