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今、果物の栽培には皮を剥いても除去できない浸透性農薬「ネオニコチノイド系」殺虫剤が使われています。
昔から果物は農薬使用量が多いことは知られており、それでも「皮を剥けば大丈夫」などと言われてきました。
しかし、もうこれまでの方法では対処できない果物が多く出回っており、私たちの健康を脅かす事態になっています。

皆さんは果物をどのくらいの頻度で召し上がっていますか? 
このコンテンツを見てくださっている方の多くは、オーガニックやできるだけ農薬を使っていない果物を食べたいという希望を持っていると思います。
私ももちろんそうです。

果物は酸味と甘みの絶妙なバランスで生み出されるおいしさ、優れた栄養素による健康効果などを自然の恵みから享受できる素晴らしい作物です。
本来なら果物をもっといただきましょう、とお伝えしたいところなのですが、果物なら何でもよいとはいえない状況になっており、それで今回のタイトルを「悩ましい果物問題」とさせていただきました。


1.もともと果物は農薬を多く使用する作物

ここに残留農薬値に関するデータをご紹介します。
■残留農薬値が高い作物ランキング(アメリカ)

エンバイロンメンタル・ワーキング・グループ(EWG)による残留農薬値の高い農作物リスト「ダーティー・ダズン」2021年版より
https://www.ewg.org/foodnews/

1.いちご
2. ほうれんそう
3. ケール
4. ネクタリン
5. りんご
6. ぶどう
7. さくらんぼ
8. 桃
9. 洋梨

10. ピーマン、唐辛子
11.セロリ
12.トマト

これはアメリカの農水省(USDA)と食品医薬品局(FDA)のデータが元になっていますので、アメリカのランキングではありますが、作物の栽培方法に大きな違いはなく参考になるでしょう。

上位10位のうち、7つを果物が占めています。
これでもわかるように、もともと果物は農薬を多く使用しないと栽培できない作物です。

さらにいうと、日本の農薬使用量は世界トップクラスであり、アメリカの10倍以上の農薬を使っています(*)ので、オーガニックでない場合は、どの果物をどの程度の頻度で食べるかは考える必要があります。
*国際食糧農業機関(FAO)「耕地単位面積当たりの農薬使用量」より


2.浸透性農薬「ネオニコチノイド系」殺虫剤は洗っても落ちない

1990年代から使われ始めた浸透性農薬「ネオニコチノイド系」殺虫剤は、従来の農作物の表面に付着させる農薬と違って、その名の通り農作物全体に浸透し、殺虫効果を発揮するという特徴があります。殺虫成分を含んだ農作物に変貌させることができるのです。

従来の農薬よりも優れている点は、
雨が降っても落ちないため、農薬をまく回数も手間も減らすことができ、使い勝手がよいこと

農薬メーカーの「虫は殺すが、人には安全である」というプロモーションのかいもあり、果物だけでなく、ほとんどの野菜、米、お茶で使われ始め、急速な広がりをみせています。

■何が問題になっているのか?
✓1990年代から世界中で発生しているミツバチの大量死から明らかになりつつある、人を含む生物に対する神経毒性
✓地中・水中に1年以上残留することによる生態系への影響
✓農作物内部に浸透し、洗っても除去できない
✓加熱処理で分解できない


ネオニコチノイド系の農薬暴露による病気との関連性を指摘する論文や各国の研究結果を鑑み、EUの食品の安全性評価を担う欧州食品安全機関(EFSA)は、ネオニコチノイド系のアセタミプリドとイミダクロプリドは、「発達中のヒト神経系に影響を及ぼす可能性がある」との見解を2014年に表明しています。

■世界各国の対応は?
EU、アメリカ、カナダ、中国や韓国などでは、使用禁止や規制強化を始めていますが、日本はまだそのような処置は取られていません。

■日本の残留農薬基準値の甘さ
日本の農薬使用量は世界トップクラス、それに加え、ネオニコチノイド系の残留農薬基準値も世界トップクラスの緩さです。

例えば、先ほどのランキングでも登場した果物では
・いちご:EUの6倍の量が残留基準値として認められている
・りんご:EUの3倍
・ぶどう:EUの25倍


などとなっています。
皆さん、この数値を見てどう思われますか?

この数値は、ぶどう500gを体重25kgの子供が食べると、EUの基準値では、急性中毒基準量と同量になってしまいます。

■ネオニコチノイド系農薬は、本当に果物の身まで浸透しているのか?
「一般社団法人 農民連食品分析センター」が市販りんごについて分析しています。
結論は「YES」。りんごの身まで農薬は浸透しており、皮を剥いても10~30%程度しか減らせないという結果が示されています。

分析結果の詳細は下記をご覧ください。https://earlybirds.ddo.jp/bunseki/report/agr/neonico/fruits/index.html


また、「東京都健康安全研究センター」では、「国内産野菜・果実類中の残留農薬実態調査」を毎年実施しており、似たような分析結果が公表されています。
http://www.tokyo-eiken.go.jp/


りんご1個、ぶどう1房、いちご10粒を食べたところで、急性中毒になる方はほとんどいないでしょう。しかし、贈答用のぶどうを3日食べ続けて中毒症状を起こした方、いちごを1ヵ月食べ続けた結果歩けなくなった方、などの報告があります。
特に、化学物質に過敏な方は、量や頻度など十分に注意してお召し上がりいただきたいと思います。


3.安心して果物をいただくには、オーガニックをお選びください


オーガニック栽培ではネオニコチノイド系農薬の使用はいっさい禁止されていますので、できるだけオーガニックの果物を選んでいただきたいのですが、普段のスーパーでは扱っていないかもしれません。
その代わりに、減農薬の果物なら?と希望を持ちますよね。実は・・・

■減農薬栽培の果物もネオニコチノイド系農薬を使用している
最近よく見かけるようになった「栽培期間中の農薬5割減、化学肥料5割減」の表記がされている減農薬の特定栽培農産物。特定栽培農産物とは、農薬や化学肥料を減らすことを目的に栽培された農作物のことをいいます。

私は以前はこの表記がある果物を食べていたことがありました。果物農家さんを応援したかったからです。
しかし、ネオニコチノイド系農薬について調べていく中で、
特定栽培農産物の推進のために欠かせない農薬として重宝されていること、
全体量として減っているように見せながら、毒性が強いかもしれない農薬を投入していることを知り、ショックを受けました。

加工食品の食品添加物は商品パッケージに記載がありますが、農作物についてはどのような農薬を使っているのか私たち一般消費者にはわからないですよね。

■ネオニコチノイド系農薬を避けるには、オーガニックしかない!
一般的な慣行農法の果物栽培はもともと農薬使用量が多く、それに加えて、よく洗っても、皮を剥いても除去することができないネオニコチノイド系農薬も使われています。
ここまで読んでくださって、ネオニコチノイド系農薬は嫌な感じがする、口にしたくない、と思われたら、オーガニックの果物をお選びください。

とはいえ、日本ではオーガニック栽培をしている農家さんは多くありませんので、私は下記のいずれかで購入しています。自然の恵みたっぷりの瑞々しい果物を入手することができます。

◎オーガニック果物を手に入れる方法
・自然食品店
・野菜宅配会社
・自然農法で果物を栽培している農園
・冷凍品:EUやアメリカからの輸入
 手軽で便利なので、忙しい方におすすめしたいです。



冒頭にも書きましたが、果物のおいしさ、健康効果は素晴らしいものがあります。一部の生活習慣病やがんの予防効果があるとの試験結果もあり、1日200g(りんご約1個分)が推奨されています。
日々の食生活に果物をもっと取り入れて欲しい気持ちでいっぱいなのですが、食品の質も健康には欠かせない要素であり、悩ましい問題です。

「”ゆるっと”オーガニック的食生活」では、オーガニックのみを崇拝し、それ以外は悪という極端な食生活ではなく、普段使いのスーパーでもオーガニック的視点で商品選びをすることで健康リスクを低減させることを目的の一つとしてお伝えしています。
果物に関しては”ゆるっと”ではなく、ガチガチにオーガニック推しとなってしまいましたが、少しでもお役に立てば嬉しく思います。

皆さん一人ひとりの行動が、農家さんの応援になり、経済的なサポートにもつながります。日本のオーガニック果物が普及することを願っています。

最後までお読みくださりありがとうございます!


★私の自己紹介的なコンテンツです!
『オーガニック的食生活』をおすすめする21の理由

★オーガニック的食生活の具体的なビジュアルを見たい方は、私のインスタグラムもご参考に!

https://www.instagram.com/kanonhappyhealth123/


★最後までお読みいただいたお礼として、
「スキ!」で今日のラッキーフードをお届けしています!


noteはオーガニック的にゆるゆると更新していきます。
また、ここでお会いしましょう。

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