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1月の日記

1月某日

成人式ぶりに、振袖を着た。

今になって、9年ほど前に撮った前撮りや成人式当日の写真を見ると、ひどいものである。年相応と言えばそうなのかもしれないが、人生で最も太っていた時期であり、今と比べれば化粧にも慣れておらず、かと言って高校生のような若々しさもない、何とも微妙な年である。

そんなことを言ってはハタチの私に叱られるかもしれない。思い返せばあの時はあの時なりに、楽しかった気はする。ギリギリまで地元の成人式に出席するかどうか悩んでいたけれど、出てみればまぁそんな不安に思うこともなく、楽しい再会もあり、しかしサラリと帰ってきた。当時は振袖を仕立てて貰うことのありがたさも良くわかっていなかったような気もする。

しかし、今回はそうではなかった。今回は一昨年から始めたお稽古である香道の新年の集いに、せっかくの機会であるからと振袖で出かけたのである。成人の記念と仕立ててもらったものが、今の私に果たしてしっくり来るものなのかはよくわからなかったが、もうそろそろ年齢的にも着れなくなるのかもしれないと思ったし、そもそも独身の間しか着れないのであれば今だ! という心持ちである(結婚の予定はさらさらないが……)。

早起きして、着付けとヘアセットをお願いしている美容院へ。ヘアは事前にネットでイメージに合うものを見つけ出し、そのままお願いした。そして着付けていただいた。すると自分でも驚くほどに鏡に映った自分に”しっくり”来たのだ。

シンプルに嬉しかった。

仕立てて貰った頃より、重ねた年齢の数だけとは言わないが、確かに自分が歩んできた道を誇って良いと思えるような、衣と共に歩けているような、そんな気持ちになったのである。心の奥底から背筋が伸びた。その日は1日、とても晴れやかな気持ちだった(もちろん、香道の会も大変素晴らしいものだった)。


29という年齢も様々で、世界を驚かすスポーツ選手がいるかと思えば、既に引退して次の道へと歩んでいる人もいる。見渡せば結婚をし母になる人、会社を起こす人、様々である。あまりにも様々であるから、自分が歩んでいる道がどれくらい正しいのか、自分ではよくわからないし、心踊る方にだけ歩んできたせいで、いささか他人とは異なる点もあるのかもしれない。親孝行したいという気持ちは年々高まっていくのに、いまいち親孝行はできていないし……。

反省すべき点、劣っている点、改善すべき点、もっとがむしゃらにやらなければならない点があるのは重々承知である。それでも、人生という旅の中で、少しでもこういった気持ちになれた日があることで、前に進めることは大いにある。それが2024年のはじまりに感じられたこと、それが私の最も幸福なことだった。2024年、よい冒険ができますように。


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