見出し画像

【アロマ調香】金木犀の思い出

金木犀の香りをかぐと、頭にうかぶ情景がある。

秋の陽ざしが金色に輝く昼下がり。
橙色の花弁を集めながら
寄り道をした小学校の帰り道。
スカートのポケットには
薄紙にくるんだ金木犀の花。

家に帰り着くと
キッチンにはエプロン姿の母がいて、
「おかあさん、いい香りするんよ!」
とポケットから出した金木犀は
萎れて色褪せていた。
がっかりしながら
茶色くなった花弁を差し出すと、
「ホンマやねぇ、いい香りやねぇ」と、
母はやさしく微笑んでくれた。

もうその母はこの世界にいないのだけど…
金木犀の香りが漂いはじめると、
鮮明にその母の笑顔を思い出す。
母が亡くなってまだ9ヶ月。
きっと私はこれから先も
秋が来て金木犀の香りをかぐたび、
母のあの笑顔を思い出すのだろう。

「香りは記憶と深く結びついている」
本当にそう。
まだまだ猛暑が続く京都にいても、
金木犀が香ると
脳裏にはあの秋の景色が広がることを
私は知っている。

幼心ながらに
自分の手元でとじ込めておきたかった
金木犀の香り。
今年は精油で調香しました。

希少精油と言われる
キンモクセイAbs.(アブソリュート)だけでは
再現できない甘さとフレッシュさを
ご堪能いただけましたら、幸いです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?