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食パンの「食」とは何か

食パンの「食」とは何でしょうか。
一般には「食用パン」の省略であるといわれています。

では、食用以外のパンがあるのでしょうか。
じつは、あります。

美術で使う「消しパン」というパンがあります。
木炭で描いたデッサンを消すときに使います。

もちろん普通のパンと変わりません。
消すことも食べることができます。

しかし、「消しパン」はデッサンするときでなければ使われません。
それと区別してわざわざ「食パン」を名乗る必要はありません。

別の説によると「生食用パン」といわれていますが、
実際にはトーストにして食べる方が多いようです。

「菓子パン」に対する「主食用パン」とも考えられます。
おやつには「菓子パン」、食事には「主食用パン」と。

サンドウィッチやクロックムッシュなどに用いられることから
「食材用パン」とも解釈できます。

もしかしたら「多様な食べ方ができるパン」を省略して
食パンと称しているのかも知れません。

ところで、食パンとイギリスパンはどう違うのでしょうか。
どちらも直方体の型に生地を入れて焼く過程は同じです。

しかし、焼き方がやや異なります。

食パンは蓋をして焼くので、断面が四角形になりますが、
イギリスパンは蓋をしないので、山型になります。

イギリスパンと呼ばれる理由は、イギリスが発祥でもあり、
山高帽を被ったイギリス紳士にも見えるからです。

ですから、アニメ「アンパンマン」に登場する食パンマンは、
本来、イギリスパンマンと呼ぶべきでしょう。

食パンとイギリスパンは、焼き方だけでなく素材も異なります。

食パンは、砂糖やバターを多く使ってしっとりと焼き上がります。
イギリスパンは、あまり使わずにさっくとり焼き上がります。

ところで、イギリスの人々はイギリスパンをイギリスパンと呼びません。
フランスの人々がフランスパンをフランスパンと呼ばないのと同じです。

ちなみに、フランスにもイギリスパンに似た山型のパンがあります。
「パン・ド・ミ」といいます。

「ミ」とはパンの中身のことをいいます。
中身の多いパンという意味です。

バケットのようなフランスパンはカリっとした食感が命ですが、
パン・ド・ミは柔らかい中身を楽しむパンです。

敢えてイギリスパンという名称を使わないところは
やはりフランスの人々の自尊心なのでしょうか。

もちろんイギリスの人々もイギリスパンに誇りを持っています。

「パンのどちら側にバターが塗られているか知っている。」
そういうことわざがイギリスにあります。

万事に抜け目がないという意味のことわざです。
バターを塗った面を忘れるほど愚かではないと。

イギリスパンが世界で愛されているのは品質が高いからです。
実直で紳士的で心優しい味は万人を魅了します。

ドキンちゃんが心を奪われるのも無理はありません。


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