見出し画像

のっぺい汁ののっぺいとは何か

のっぺい汁は日本各地に伝わる郷土料理です。

里芋、大根、ニンジン、シイタケ、豆腐、コンニャクなどの具を、すまし汁に仕立てて葛粉や片栗粉でとろみをつけたものです。

ゴボウ、レンコン、油揚げ、鶏肉、蒲鉾が入ることもあります。
とろみをつけないこともあります。

地域によって作り方や素材に大きな差があり、名称もさまざまです。
「のっぺい煮」「ぬっぺい汁」「のっぺ」とも呼ばれています。

「のっぺい」とは変わった名前ですが、漢字で「能平」「濃餅」と書きます。一体どのような意味なのでしょうか。

おそらく「のっぺり」や「ぬっぺり」が語源ではないかと考えられます。
里芋のぬめりを表現した擬態語だったのではないでしょうか。

地域によって材料がやや異なりますが、必ず里芋が入ります。
昔から里芋が収穫される季節に作られてきた料理です。

もともとは農作物の収穫に感謝する祝祭的な意味があったようです。
そのため、お正月やお祭りやお祝い事の御馳走でした。

また、お葬式やご法事の精進料理としても振る舞われてきました。
いずれも大勢の客人が集まるときに大鍋で大量に作られました。

よく、のっぺい汁とけんちん汁の違いが指摘されることがあります。
材料を見る限りよく似ている料理ですが、その違いは何でしょうか。

けんちん汁に定義があるわけではありませんが、次の点が挙げられると思います。


けんちん汁には肉や魚を入れない。
けんちん汁は材料を油で炒める。
けんちん汁には必ずつぶした豆腐が入る。
けんちん汁はとろみをつけない。
けんちん汁は熱々をいただく。

一方、のっぺい汁には融通性があります。

のっぺい汁には肉や魚を入れても入れなくてもよい。
のっぺい汁は材料を油で炒めても炒めなくてもよい。
のっぺい汁にはつぶした豆腐が入っても入らなくてもよい。
のっぺい汁はとろみをつけてもつけなくてもよい。
のっぺい汁は熱々をいただいても冷めていただいてもよい。

実際、のっぺい汁は冷めても美味しい料理です。
おせち料理と同じく、温めずに饗されることもあります。

おせち料理ほど華やかではないかもしれませんが、本当に心が安らぐありがたい料理です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?