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日本原産なのにあまり知られていない果実 その2

秋になると実るサルナシという果実があります。
日本列島、朝鮮半島、中国大陸の山に自生しています。

キウイフルーツを小さくしたような姿をしています。
実際にキウイフルーツと同じマタタビ科マタタビ属の仲間です。

野生種だけでなく最近は栽培もされるようになりました。
ベビーキウイの名で流通しています。

サルナシは漢字では「猿梨」と書きます。
猿だけでなく山に棲む動物たちにとってご馳走です。

とくに熊の好物とされています。
ではなぜクマナシではなくサルナシなのでしょうか。

それは「猿酒」の原料になる実といわれているからです。
猿酒とは猿が木の洞やくぼみで果実を自然発酵させて作る酒です。

意図的に猿が醸造しているのか偶然にできるのかは不明です。
ときどき猿酒を飲んで酔っている猿の姿が目撃されるそうです。

また誤って飲んだ鳥が酒酔い飛行することもあるそうです。

ところで私は子どものころキウイフルーツの季節は春だと思っていました。
果物屋さんがそう教えてくれたからです。

しかしそれは春になるとニュージーランドから輸入されるという意味でした。
実が生るのはもちろん秋です。

比較的栽培が簡単なため今では国内でも盛んに栽培されています。

最も生産量が多いのは愛媛県です。
みかん農家が転作しているためです。

ニュージーランド産は春に、国内産は秋に出回ります。

もともとニュージーランドのキウイフルーツは中国から伝わりました。
今から百年ほど前のことです。

当初は「チャイニーズ・グーズベリー」と呼ばれていました。
品種改良されてニュージーランドから輸出されるときに改名しました。

ニュージーランドの国鳥であるキーウィに因んだ命名です。
今から六十年ほど前のことです。

一般には見た目がキーウィの姿を連想させるからと信じられています。

日本でもキウイフルーツという名前で親しまれていますが、昔は「西洋サルナシ」という別名もありました。

いつしかそう呼ばれなくなった理由は、サルナシの知名度が低かったからです。
日本原産なのにちょっと悲しい果実です。


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