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生かされている


うつ病の私が何度希死念慮を抱いても、
"この思い出に生かされている"
と思っていることがある。

それは、4つ離れている弟とのこと。
私がうつ病になって2年目の時、2人で地元のちょっといい回転寿司に行った。いつものチェーン店とは違って珍しいお魚が大きなネタで提供されるので、2人して興奮した。
何のネタかは忘れてしまったけど、弟がある一皿を口に含んで美味しいと言った。普段あまり表情が変わらない子なので、そのわずかに口角の上がった顔に、本当に美味しいんだなと私までうれしくなった。大きな笑顔とかではなく、つい緩んでしまったというような表情だった。
その顔を見て、「これからもこの顔を見るために、がんばって生きていきたい」と思ったのをよく覚えている。なんと表現したらいいのかわからないけど、すごく大きな感情だった。
食事を美味しいと感じることが生きるということに直結するから、そう感じたのかもしれない。

弟はもう覚えていないかもしれない些細な出来事で、大袈裟だと思われるかもしれない。なんならちょっと重いと思われるかもしれない。
でも、ふと思い出したときに私は、あの日があって本当によかったと思うのだ。

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