見出し画像

400字で分かる落語「井戸端会議」

「い」の70:井戸端会議(いどばたかいぎ)
【粗筋】 毎月地域の女性達が集まる会、先月はヘソクリの研究発表会だったが、今月は夫や恋人の自慢話というテーマで話し合う。
 何を聞いても「うちの人は私を愛しているの」と答える奥さんは幸せそのもの。
 5、6人のスペアを用意している独身女性がいたり、「亭主がよくなついて、言うことを何でもきくの」と、ペットと思っている奥様がいたり……色々な話が出る。
 最後の奥様は、世界平和のためには家庭の平和が必要と言い、そのために時間を無駄にしないと訴える。夫の出勤も帰宅も10秒以上の誤差はない。食事やトイレも、ストップウォッチで時間を計ってすませる。
「それでは慌ただしいだけね」
「いいえ、無駄を節約して余った時間を二人の愛のタイムにするの。キスなんか1時間40分」
「窒息してしまうわ」
「平和な家庭をがっちりカタめるのがうちの人の信念なのよ」
「なるほど、お宅のご主人はどこへお勤め」
「セメント会社なの」
「なるほど、おカタイ人……」
【成立】 昔々亭桃太郎(1)、昭和40(1965)年の作。桃太郎は柳家金語楼の弟。金語楼に「女房自慢」があり、その逆を考え、弟子の桃乃はな代に贈った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?