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400字で分かる落語「居残り佐平治」4

89:居残り佐平次(いのこりさへいじ):その4
【成立】の続き
昭和32(1957)年の映画『幕末太陽伝』は、黛敏郎の音楽が印象的だった。裕次郎演ずる高杉晋作の英国公使館襲撃事件を裏筋に、「居残り」「芝浜」「品川心中」「三枚起請」「お見立て」をアレンジ。落語で佐平治が「医者から海辺で養生しろと言われた」というので労咳(ろうがい)病みと設定、フランキー堺が落語から取った事件を次々解決するのに、「お見立て」になった途端に手際が悪くなり、田舎親父に咳が出ることを指摘されて暗い表情を見せる。逃げ出す佐平治に、後ろから田舎親父の声、「地獄さ落ちっどォ」に「俺はまだまだ生きるんだ」。冒頭当時の品川駅からホテルのネオンのアップになり、品川宿の行灯に代わるタイトルバックが見事。川島雄三監督は、最後に逃げた佐平治が現代の品川に現れて、登場人物達が追い掛けるというラストシーンを構想したらしいが、フランキーらの猛反対で断念したという。どっちがいいんだろう。監督案は冒頭とのつながりが面白そうなんだけどねえ。

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