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400字で分かる落語「犬の字」

「い」の84:犬の字(いぬのじ)
【粗筋】 命が危ないところを人間に救われた白犬、恩返しをしたいと神に祈ると、人間に姿が変わる。白太郎と名を変え、恩人の店で手代として働き、朝から晩までよく働いた。全てを知っている主人が、嫁を迎えて通い番頭にでもしようと思うが、元が犬だと分かると、嫁の両親にも申し開きが出来ない。酔ったら地が現れるというから、酔わせてみると、白太郎は自分の部屋へ戻って高いびき。主人夫婦が覗いて、「ああ、情けない。やはり以前が知れる」
「何がいけないんです。人間同様、大の字になっているじゃありませか」
「肩の上を見なさい。枕でチョンを打ってある」
【成立】 犬のシロから取ったので「しろたろう」のはずだが、「はくたろう」と書かれたものがある。橘家円玉は「これが『元犬』の上でございます」と言っている。基本的に犬の心を失わぬ主人公のトンチンカンは同じだが、続けて演じられたことはないだろう。「元犬」は人間になり切らぬおかしみであり、この噺はもう立派に人間ではないか。それなら順番が逆だ。

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