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400字で分かる落語「犬の目」1

「い」の86:犬の目(いぬのめ):その1
【粗筋】 ヘボン先生の弟子のシャボン先生、治療のために人間の目をくりぬいて薬品で洗う。水を吸って膨らんで入らないので日陰干しにしたが、通り掛かった犬が食ってしまった。先生はこの犬の目をくりぬいて患者にはめ込む。
「先生、犬はどうするんです」「春になったら目が出るじゃろう」
 翌日この患者が来て、「目は良く見えますし、夜中に音がしてもパッと目を覚まし、暗くても人の気配は分かります」「困ったことはありませんか」「電柱を見るとおしっこをしたくなります」
【成立】 寛延4(1751)年『軽口浮瓢箪』の「眼病のやりくり」、安永4(1775)年『聞童子』の「眼病」は、目の病を友達に見せ、「俺の目は寂は雨(死滅すること)だ」と言うと、「案じるな。目の中は星だらけだ」というもの。
 1680(延宝8)年『囃物語』上巻ノ一「天下一目医者の咄し」は、人だかりが出来ているが、背の低くて前が見えない目医者が、自分の目をくりぬいて見物し、粉薬をふりかけて戻すという噺。
 同書中巻ノ八「鯉の目はなし」は、鯉の目玉が万病に効くと聞いて、調理を頼まれて目玉をくりぬくが、その時に主人に「何をしておる」と言われてびっくり。目が飛び出るほど驚いて、朋輩が間違えて鯉の目を入れてしまう。この主人が大坂へ行くのに夜船で下ったが、鯉の目を入れた供の者が川へ落ちる。大騒ぎになるが、鯉の目を入れたため、故郷が懐かしくて川に入ったのだという落ちになる。

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