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400字で分かる落語:「憧れの甲子園」

36:憧れの甲子園(あこがれのこうしえん)
【粗筋】 うっかり甲子園出場を果たしてしまった駄目チーム。当然1回戦で15対0のボロ負け。その夜の慰労会、監督が酒を飲みながら愚痴をこぼす。最初は、「堂々と胸を張って帰れ」と言っていたが、酒が回って来ると、「相手も同じ高校生や。力に差はない……のなら、こんな大差にならんわなあ」と、本音が出始める。
 エラーをした選手を責め、相手が15点目をスクイズで取ったのを非難し、酔うに連れて、笑ったり、泣いたり、怒ったり、
「さ、お前らも飲め」「出場停止になったらどうするですか」
「どうせ二度と出られへんわい。酒煙草くらいええんや。言っとくが寝煙草はいかんぞ。高校生なら、そのくらいのルールは守れ。さあ、もう一杯や」
「先生、どうしてそんなに飲むんです」
「これでちょうど一升(一勝)や」
【成立】 笑福亭福笑の創作落語。愚痴だけは辛いが、ほぼ一人語りで、生徒の迷惑そうな顔が目に浮かぶようだ。
 ここから字数オーバー……余計なことを言わせてもらうと、私も応援団の吹奏楽を指揮して甲子園に行ったことがあるが、甲子園は世界が違う。甲子園に出ただけで大変なステータスなのである。はっきり言うが、この監督も地元に凱旋していいのだ。タイトルに使った絵は、は大正10年の高校野球。甲子園球場が出来るのはこの3年後。昭和23年に祖父が書いた絵であるが、同時に数試合やっているようだ。

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