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400字で分かる落語「猪飼野」

「い」の10:猪飼野(いかいの)
【粗筋】 毎夜夜鷹が現れるが、ただでやらせてくれ、相当の好きもの……噂を聞いて出掛けて行くと、暗がりに女がいて言葉も交わさずに始める。役人も噂を聞いて調べていて、隠れていた取り方が囲んで灯りを照らす。
「こんな所で何をしておる」「あ、怪しい者ではございません。これは私の女房で」
「何。女房ならなぜこんな所でしておるのだ」
「今照らされて、初めて女房と分かりました」
【成立】 題は大阪市生野区の地名。東京では秋葉原(あきばんはら)が舞台。春風亭柳昇が「お茶漬け」の前半で演ったが、これだけで一席にはなっていないらしい。タイトルは「秋葉原」でいいのかも未詳。
 猪飼野は桑畑が多く、夜鷹が出没した。マルセ太郎はここで育ち、「チョーセンの多いとこやな」と言われたと書いている。コリアンタウンがあるようだ。
 秋葉原は野菜市場(やっちゃば)があったが、朝だけで後は寂しい場所で、「累ヶ淵」でも死骸を捨てる場所になる。明治の初めに火事があり、駅の辺りに祠が建ったのを火除けの神「秋葉様の原」で「あきばがはら」と呼ばれた。地方から来た駅員が「あきはばら」という理屈に合わない読み方をしてしまったそうだ。

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