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400字で分かる落語「市助酒」

「い」の57:市助酒(いちすけざけ)
【粗筋】 番小屋で火の番兼走り使いをしている市助、真面目だが酒に弱く、酔って失敗することもある。その晩も、酒の勢いでやかましく注意をするので、伊勢屋の番頭を怒らせてしまう。旦那がこれを聞いていて、「我々の代わりにやってくれるのだが、寒いから酒でも飲まなければもたない。もっとねぎらってやれ」と意見する。
 そこで翌晩、番頭が市助に酒をふるまい、市助はすっかり酔っ払い、他でもご馳走になって、再び伊勢屋に回って来ると、番頭はこちらから声を掛けて、
「市助、私の所は気を付けているよ」
「いえ、お宅はどうでも大事ございません」
【成立】 元禄14(1701)年『百登瓢箪』の「番太郎」、「『もしお前様の火の用心は構ひませぬ程にご勝手になされませ』といふて、許したもをかし」と説明的すぎる。文化4(1807)年の喜久亭壽暁のネタ帳『滑稽集』には「火のやふ心は、用ムリ升」と、文久元(1861)年桂松光の『風流昔噺』には「源兵衛日のようぢん 但シこなたはどうでもよろしい」とある。笑福亭松鶴(6)が先代のを記憶から掘り起こした。柳家小さん(3)が東京に移植、「お宅は焼けたってようございます」だったのがあまりに露骨なので代わったらしい。

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