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400字で分かる落語:「朝暖簾」

44:麻暖簾(あさのれん)
【粗筋】 按摩の杢市(もくのいち)、旦那を揉みながら、目の見える方が人に行き当たると言い、盲人でも自分は一人前に何でもできると言う。夜遅くなったので泊まって行くように言われ、案内はいらないと意地を張って、一人で離れへ行く。入り口の麻暖簾を蚊帳だと思って座敷に入った所で座り込むが、布団も何もない。蚊の大軍に襲われ、朝になると見るも無残に顔が腫れあがっている。
 旦那は蚊帳を張り忘れたのだろうと女中を叱るが、真相が分かると大笑い。意地を張るなと意見をして、杢市もすごすご帰って行く。数日してまた泊まることになると、また一人で行くと言う。今度は女中が気を遣って麻暖簾を外していた。そうとは知らぬ杢市、
「ほい、最初が麻暖簾、次が蚊帳」
 と、二度まくったから外へ出てしまった。
【成立】 上方から移植した噺。盲人の仕草を見せるので、気を遣うようになり、古今亭志ん生(5)以後聞いていない。

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