400字で分かる落語「一眼国」
「い」の56:一眼国(いちがんこく)
【粗筋】 六十六部(ろくぶ)が一つ目小僧に会ったというので、香具師(やし)が見世物にしょうと探しに行く。尋ね回っても手掛かりがなく、諦め帰ろうとした夕刻、道に迷って野原へ出る。そこにいた小さな子供が一つ目。小脇に抱えて走り出すが、この子の悲鳴に、誰もいなかった野原に人が次々現れ、とうとう捕まってしまう。奉行の詮議で、
「これ、かどわかしの罪は重いぞ、面を上げい。やっ、こやつ目が二つあるぞ。調べは後回しじゃ、すぐ見世物に出せ」
【成立】 天保13(1842)年『奇談新編』、弘化4(1847)年『噺の種』の「取りに来て取られた」など、類話が多い。林家彦六(正蔵)の独壇場だった。枕で見世物を説明、「こんなもの長くはつづかねえネェ」の「ネェ」が本筋の「ネェ六部さん」の台詞にかぶっている。古今亭志ん生(6)のは香具師がすごい。ご馳走して情報を捕ろうとするが、駄目だと思うと追い出しに掛かり、そこで一つ目小僧の情報を知ると、飯の用意までさせる……がもう冷や飯を食い終わっている。
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