400字で分かる落語

「あ」の落語第2席:相合傘(あいあいがさ)
【粗筋】 会社帰りに雨に降られた。駅に夫を迎えに来た同じマンションの奥さんに声を掛けられる。この時刻に来なければ残業なのでもっと遅くなるらしい。傘一本で相合傘で帰るつもりだったのだろう。二人で相合傘で帰るが、奥さんの香水の匂いに、男の妄想が膨らむ。
「ああ、この匂い、吸い込みたい、吸い込みたい……」
「何です、吸い込むって」
「あ、いえ、トイレの吸い込みが悪くって」
 ……ああ、なんでトイレなんだ……掃除機って言えばいいのに……蛇でも出て、怖いわって抱き付かないかしら……それならベルトを外して「奥さん、蛇です」「怖いわ」……ズボンが落ちるから駄目だな」
【成立】 桂米丸の人間ウォッチング(と私は呼ぶ)。
【一言】 何気ない日常を描いただけで落語になるのが米丸の世界。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?