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400字で分かる落語「鰻の幇間」2

「う」の60:鰻の幇間(うなぎのたいこ):その2
 春風亭柳好(4)は、だまされたと分かった幇間が、大変だと口をぱくぱくさせるばかりで、逆上して、支払いをどうするか、頭がいっぱいになっている様子が分かった。専門家によれば、柳好の悪い癖である語尾をのみこむ喋り方が、ぴたりとはまっているそうだ。
 古今亭志ん生(5)の幇間は、すっかりあきらめて、さっきまで褒めていた店をさんざんにこき下ろし、小女の経歴まで尋ねる。土産まで持って行ったと聞くと「敵ながらアッパレだねえ」と口にするのがおかしい。落ちの後、「じゃあ、その人の履物をお出してよ」「あれは紙に包んでお持ちになりました」ととどめをさす。個性を生かした見事な演出。志ん朝も同じやり方のを見た。
 その他多くの噺家のを聞いているが、円蔵も可楽もどれも感心しなかった。ところが2003年頃に可楽を聞いたら、客を捕まえた喜び、いい客らしいから大事にしようという心理、騙された落胆、客への怒り……喜怒哀楽の情が見事に描き分けられていた。ううん、これは見事。
 その後の大傑作は2004年8月、上野鈴本夏祭りの柳家権太楼(3)。店に入ったところから、どうもこの店は怪しげだぞという雰囲気で、客が逃げてしまってからは店をこき下ろすのだが、これがもう、大爆笑の連続で、いやあ、こんな面白い噺になるとは……三日ほど腹がよじれたままだった。
 雷門助六(9)は、「鰻屋の漬物になぜ梅干しがあるの」って嘆いていた。もうこのくすぐりだけで感激。

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