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【物語の現場041】嵐子の偵察報告、甲府城周辺~釜無川(写真)

「狩野岑信」の第四十七章で、典膳と厳四郎は、甲府藩用人・間部詮房を討ち取る相談をします。そして、藩庁の内通者から間部の行動予定を入手し、嵐子に襲撃候補地の偵察を頼みます。写真は嵐子が偵察した各地(2022.4.21・22撮影)。

<内通者が寄越した藩庁内部のメモ>

 七日 午前、竹之間にて奉行以上の役職者とご協議。午後、大広間にて在府藩士一同に対し藩主様訓辞お申し渡し。その後、商家代表とご面談

 八日 午前、釜無川治水工事現場ご視察、その後、竜王村庄屋宅でご休息。その際、地域の庄屋及び長寿者とご面談。夕方ご帰還。なお、釜無川へは、城北武家町の拡張工事現場を経由して向かわれる。

 御用人様ご予定、上記の通り。先の通知から一部変更あるにつき、接遇役より急ぎ連絡いたし候。各位におかれては、確認の上、万端遺漏なく相務められるよう願い申し候

<嵐子の偵察報告:現地の写生図付き>

一、甲府城東側稲荷曲輪(右上写真)
 
嵐子が書き添えた所感
 やれる。城の周りでここが一番の穴。手入れされてない茂みあり。隠れ待って行列が来たら横から突っ込む。

それを読んだ厳四郎の心の声
 うん? これはどこだ? お嵐め、堀の中まで入ったのか。どうやって? いや、訊くまい。こんなところまで入り込めるのはあ奴だけだ。城の周囲でやるとすれば堀外の屋敷地区になるだろう。道は碁盤の目。前後を分断できれば・・・。いや、無理だな。その分逃げ場がない。最初から全滅覚悟の作戦など、作戦の名に値せん。

二、武家町拡張工事現場(右下写真:武田神社(旧躑躅ヶ崎館)から甲府駅方面を見た景色)

嵐子の所感
 やれる。作業現場は隠れる場所に困らない。北は山地で事後の離脱にも有利

厳四郎の心の声
 場所があっても、人の出入りが多ければ隠れるのは難しい。仲間を作業員に紛れ込ませることが出来れば一番の適地になると思うが、残念ながら、手配する時間がない。

三、釜無川治水工事現場(左上写真)
 
嵐子の所感
 やれる。広い。走り回って攪乱すれば必ず好機を作れる。

厳四郎の心の声
 やはりここか。堤はそれほど高くない。しかし、この延々と続く並木、これが話に聞く信玄の水防林か。思ったより長大だな。これなら兵を伏せられる。連中が河川敷に出たところで、何か、視界を遮り、混乱させる工夫があれば・・・。

四、甲府名物ほうとう(左下写真)

嵐子の所感
 お腹が空いたので「ほうとう」という料理を試した。味噌煮込みうどん? カボチャが甘くて美味しい。でも、柳生の里で食べるすいとんの方が好きだ。この戦いが済んだら、厳四郎様に作ってもらおう。

厳四郎の心の声
 何のことだよ?! 食いたきゃ自分で作れ。いや、戦場用の携行食以外、あ奴に料理をさせちゃ駄目だ。いいだろう。好きなだけ作ってやるさ、生き残ったらな。

 さて、甲州街道編もいよいよクライマックス。釜無川に勢揃いする吉之助、竜之進、間部、そして厳四郎、嵐子、さらに典膳。それぞれの運命や如何に。

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