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映画紹介:『キングスマン』極めて洗練された極上のジャンクフード

キングスマンとは

 2014年、英米の共同製作によりそのイカしたスパイアクション映画は産まれた。監督は『キック・アス』で一躍名を馳せたナイスガイ『マシュー・ヴォーン』、実は原作にあたるコミックもあるが……ここでは割愛しよう。
 世界的ヒットを飛ばしたこの名作が、2024/02より、Amazonプライムでの無料視聴作品に列せられた。公開当時銀幕に映る紳士達に魅せられた者の1人として、ここに紹介文を残そうと思う。興味が湧いた諸兄諸姉におかれては、是非この機会にこの作品に触れて欲しい。また、続編にあたるゴールデン・サークル、ファースト・エージェント、についてはまたの機会に筆を譲る事としたい。

キングスマンの魅力

 まず頭の中に思い浮かべて欲しい。上等なオーダーメイドのスーツに身を包み、髪型もバッチリとキメ、もちろん口元には優雅で優しげな微笑。男女を問わず見惚れてしまうような、頭の天辺からつま先まで『気品』に満ちた『紳士』を。
 そんな『紳士』達が、平和を脅かす悪党どもと秘密兵器満載のスパイアクションで渡り合う、それが『キングスマン』だ。
 この魅力的なプロットを、スピード感に満ちた上質なアクション、気品と外連味を併せ持った個性的なキャラクター、単純明快ながら痛快なストーリー、で仕上げた、まさに『映画界の極上ジャンクフード』とでも言うべき作品である。
 間違ってもこの作品に『哲学』だとか『文学性』を求めてはいけない。観ている最中も終わった後も『面白かった!』『格好良かった!』『スカッとした!』、それ以外の感想など抱かせない、観客のIQを30ぐらい下げる魔力がこの作品にはあるのだ。

あらすじ(物語最序盤のまとめ)

 英国の秘密諜報機関『キングスマン』に身を置き、『ガラハッド』のコードネームを持つ男『ハリー・ハート』。彼はある作戦中に致命的なミスを犯し、同行していたキングスマン候補生の『リー』の犠牲によって命を救われた。
 ハリーはリーの妻ミシェルに彼の殉職を告げ今後の生活の保証を申し出るが、諜報機関である以上身元を明かすことの出来ないハリーを彼女は信用できず、拒絶してしまう。仕方無くハリーは「何かあったら頼って欲しい」と言う言葉と共に小さなメダルを、彼女の幼子に贈った。この子供の名は『エグジー』、今作の主人公となる男である。
 それから17年後……コードネーム『ランスロット』を拝するキングスマンのエージェントが、ある作戦中に命を落とす。キングスマンは『アーサー』を頂点とし、メンバーが円卓の騎士になぞらえたコードネームを襲名していく入れ替え制の組織、後任の新たな『ランスロット』を決めなくてはならない。
 一方、ハリーの援助を拒絶したミシェルはロクでも無い男『ディーン』と再婚し、絵に描いたようなロンドン下流家庭らしい荒んだ生活を送っていた。息子のエグジーは優れた知性と運動能力を持ち一時は海兵隊への道を嘱望されていたが、ミシェルの反対により道を閉ざされ、街の悪党達とつるむ自暴自棄な日々を過ごし……遂に敵対グループの車を盗んだ事により警察の厄介となってしまう。
 当然ながら事情聴取の憂き目に遭い、取調室でうなだれるエグジー。そんな彼の目に、片時も離さず持ち歩いていた小さなメダルが留まる。「何かあったら頼って欲しい」そんな言葉と共に贈られたメダルには、謎の電話番号が刻まれていた。藁にも縋る思いで、エグジーはこの番号に電話を掛ける。この時から、彼の人生は思いがけない転機を迎えることになる……

『キングスマン』の魅力を少しだけ深堀り

・キャラクター

 この作品のキャラクターは、いい意味で単純化された分かりやすい人物が多い。完成された『紳士』として振る舞いながらも時に下品なジョークや人間味も見せる『ハリー・ハート』、悪ぶろうとしていても生来の人の良さと純朴さが隠せない『エグジー』、この2人の主役が分かりやすく好まれるキャラクターとして描かれているおかげで、観客は安心してストーリーに身を委ねることが出来る。

紳士の中の紳士 ハリー・ハートは正に作品の顔 
育つ紳士 王道的主人公のエグジー

 忘れてはいけない『悪役』サイドのキャラクターも際立っている。悪の親玉『リッチモンド・ヴァレンタイン』は、誇大妄想に取り憑かれた『自分が正しいと信じて疑わない醜悪な』悪役として、実に素晴らしいキャラクターに仕上がっている。かく言う筆者も初の鑑賞時は、『うわぁ、面白い悪役だなぁ……殺さなきゃ』と一片の疑念もなく最後まで思うことが出来た。

見ている分には楽しい悪役 ヴァレンタイン

 更にその腹心『ガゼル』も忘れてはならない。『両脚義足のミステリアスな美女』と言うインパクト抜群のルックスもさる事ながら、上品で優雅な所作はいかにも悪の女幹部に相応しい。またその格闘アクションの冴えは、主役であるキングスマン達に勝るとも劣らない点も彼女の魅力と言えるだろう。

抜群の存在感を放つ悪の幹部 ガゼル

・アクション

 この作品最大の魅力。打・投・極、何でもありの格闘アクションは極めてハイスピードかつド迫力で、ここに本作ならではの『武器術』がミックスされている。そこらのイスや机での殴打は言うに及ばず、投げや関節技からのえげつない銃撃、敵の武器ですら瞬時に奪い取り利用する。『キングスマン』達の格闘術は合理的に相手を殺傷・無力化する『殺人術』に他ならないが、洗練されたその動きからは『優雅さ』『気品』すら漂う唯一無二の魅力に溢れている。
 更には往年の名作『007』を彷彿とさせるびっくりギミックも目白押し、これは是非とも作中で堪能していただきたい。

まとめ

 いかがだっただろうか。長らくサブスクでのオンデマンドサービスでの視聴が難しかったこの名作が、Amazonプライム特典として手軽に観られるようになったのは1ファンとしても喜ばしい限りである。
 キングスマンシリーズはこの記事を執筆の段階で、最新作も鋭意作成中のまだまだホットなコンテンツでなので、この記事を切っ掛けに一人でも多くの紳士淑女の知るところとなれば、これほど嬉しいことはない。

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