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【映画感想】少年少女と1人の幽霊が描く生と死の意味「サマーゴースト」


サマーゴースト。
死に触れる3人の少年少女と夏、
花火が光る瞬間にだけ現れる1人の幽霊のお話。


公開前の夏頃から
ずっと行きたいと思ってた映画を滑り込みで。
好きな音楽家が劇伴入れるというので、
絶対に映画館の音響で生音を聞いてみたかった。


40分の中編映画に
大学生料金1300円は少し割高に思えたけど、
そんなことは全くなくて
何処までも綺麗な絵画だった。


短い時間の中で物語にのめり込んで
感情移入まで至るのは凄く難しいし、
実際にサマーゴーストのこと、3人の関係のこと、
それぞれの抱える悩みのこと、
掘り下げる時間は少なくてもっともっと知りたかった。
その方が深みが出ると思った。


けれど、淡々と描かれる中で
明確な思いや作者が伝えたいであろう言葉が
練り込まれている気がして、
ちょうど刺さって綺麗に流れるタイプの涙が出た。

「どうせ何もかも終わる....」


ネガティヴな言葉に聞こえるけど、
私自身にはとても勇気が出るような
吹っ切れるような言葉だったな。


死にたいのに日々に停滞して死ねないと思うこと、
あるかもしれない。
けれど人間生まれた以上終わりがあるわけで、
なんなら人生からリタイアする方法も
たくさん明示されている。

倫理的に難しいだけで
自分の人生を終わらせることは簡単にできる。
せっかく人生をやめない権利を
人から奪われていないのに
やりたいことをやらずに死にたくはないな。
本来もっと生き方は自由なはずだ。


「頑張って生きる」


生きること、今を生きていくことの尊さを
自分が恵まれているが故に気づけないこと、
自分の視野が狭くて気づけないことが多かったけれど、改めて認識させて貰えた気がする。

絵のタッチも人物が粗めに見えたけど、
その雰囲気やそれぞれの現実世界と今で
色の当て方が違ったり、
そもそも配色が素敵だったりで画集のようだった。

そしてそれに当てる音楽が素晴らしかった。
音響を始めて物語に曲を当てる大変さも
楽しさも分かってきたけれど、
やっぱり物語の感情とリンクした曲を当てられると
感動も伝わり方も何十倍に威力を増す。


音で涙の誘導が出来ることに改めて感動した。
エンドロールの曲すごく好きだったな。
目を閉じて聞きいるくらい。



ゲームを機に物語に対する音楽の大切さを知り、
小瀬村晶というクラシックの音楽家を知った。

クラシックなんていままでモーツァルトとか
音楽の授業で習う程度しか知らないし
興味も無かったけど、
ピアノの旋律と表現の幅の広さに
興味をひかれてしまった。


小瀬村さんの曲はどれも好きなんだけど、
グランドピアノとかならではの
鍵盤を押した時のあの重みを感じる音、
カコンってなる音、
打鍵音が入っているのが1番好きです。
なので聞いてください。


やっぱり物語や言葉を彩る音楽の可能性を感じたし、
J-POPやロックもそれと同じなのかなと。
歌詞もいうてしまえば
超短編の物語になる場合もあるので。
わからん。難しいところだけど。



言葉と音楽の可能性はあるし、それを大切にしていきたいということで〆ます。おわり!

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