靴選びの間違い習慣
子どもが靴を履いて親が踵に人差し指を1本入れて余裕を確認している光景を目にしますが、これは推奨できる確認方法ではありません。
人差し指1本の厚みが15㎜程度としてつま先のゆとり(捨て寸)が15㎜程度はあることを確認するために拡がった習慣だと思います。ただ、実際にこの方法で合わせると15㎜程度のゆとりはなく20㎜程度と大きくなりがちです。
また、10歳以下の場合は足趾をすくめているケースもよくあり、この方法では正確につま先のゆとりを確認できません。
つま先のゆとり(捨て寸)
靴のつま先のゆとりのことを専門用語では捨て寸と言います。走ったり歩いたりすると足は靴内部で若干動くので足趾があたらずに足趾が機能するための余裕が捨て寸です。
足趾があたらずに浮指になりにくい理想的なスポーツシューズの捨て寸は成人の場合で10㎜から15㎜程度とされています。捨て寸は小さくても大きくても靴の性能を十分に引き出せません。
写真は25.0㎝の革靴とウォーキングシューズですがつま先の形状と捨て寸が違います。日本規格のスポーツシューズは概ね足長が25.0㎝の人が履いて5㎜から10㎜程度のゆとり、つまり捨て寸があるように企画されています。
ところが革靴は飾りが加味された捨て寸で紳士靴で30㎜から40㎜程度、パンプスは10㎜から20㎜程度の捨て寸があります。
この様な捨て寸の違いからスポーツシューズでは26.0㎝が丁度良くても革靴は25.5㎝でないと大きい場合もあります。履いたことがない靴を通販で購入し失敗した話をよく聞きますが、靴は実際に履いてみないと分からないのです。
親指でのゆとり確認
親指でつま先を押してゆとりを確認する。これも良く目にする光景ですが、多くはつま先には固い芯材が入っています。押しても足趾がわからないどころか芯材が変形したり革にシワがよる可能性もあるので押すことも推奨できません。
押すのではなく、親指を軽くのせて靴の中で足趾を動かしてもらい足趾の位置を確認するのが正しい確認方法です。
正確にゆとりを確認する方法
カジュアルシューズやスポーツシューズの場合は中敷きが外せますので、外した中敷きに立ち踵を合わせてつま先のゆとりを確認します。母趾球から小趾球の幅が10%程度ならはみ出ていても靴内部は中敷きよりやや大きく楕円形上になっているので、足の変形や靴素材の収縮が適度にあれば問題はありません。
ただ、中敷きを外せない靴はどうするのかとなりますが、私達プロは足型計測をしてつま先のゆとりを計算します。その上で靴を傷つけないよう靴に触れて足趾などを動かしてもらいフィット感を探ります。
足型計測を一般の方がやろうとするのは難しいのですが、固い芯材越しにでも足趾の動きは伝わるので、親指で押すのではなく優しく親指をのせて履いている方に足趾を動かしてもらい確認する方法は可能かと思います。