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#046 刹那的な満たしかた〜台湾ローカルフード”鹽酥雞“〜

台湾のローカル屋台フードで好きなものを聞かれれば すぐに思いつくものがある
それは鹽酥雞(鹹酥雞)だ 

これはいわゆる唐揚げのことなのだが この屋台は鳥の唐揚げ専門店ではない ショーケースなどに並べれる食材は鶏肉はもちろんのこと 野菜やイカ、キノコ類などもあり それらを全てカラッと揚げて塩胡椒などをまぶして提供してくれるお店なのだ わたしたちは好きなものと必要な量を伝えて少し待っていれば揚げたてサクサクのものをいただくことができる 食材が豊富なので自分の好みを見つけられるまで数回通ってみるのも楽しみ方の一つだろう

鶏肉も唐揚げの定番とも言えるももやムネ肉をはじめ 骨なし肉や軟骨なんかを扱うお店もある フライドポテトやナゲットも並んだりと揚げ物ならなんでもあるイメージだ 一度下揚げしておいたものを注文を受けてから二度揚げするので待ち時間も短い

普段はあまり夜に出かけることがないので この鹽酥雞をいただくのは年に数回程度だが 毎回決まって頼むのは軟骨である 軟骨の唐揚げというのは日本の居酒屋メニューでもおなじみだろう 台湾人は鶏肉の消費量が多く扱いもとても上手だなと思うのだが(どんな料理でも鶏肉はいつも柔らかくてジューシーだから固くてボソボソするなんて失敗を一度も見たことがない)日本人のわたしからすると惜しいと思うことがある それは美味しい焼き鳥屋さんが少ないことと 軟骨の唐揚げがあまりないことだ
焼き鳥屋さんに関しては声を押さえておこうと思うが 軟骨である 鹽酥雞のお店はどこにでもあって近所にも4,5軒はあるのだが そのうち軟骨を売っているのはたったの一軒だけなのだ お店ごとに取り扱う食材が違うので仕方ないのかもしれないが それにしても少なすぎないかと思ってしまう
今日はどうしても食べたいと思ってもこのお店が定休日なら諦めるしかない
軟骨ってそんなにレア!?

年に数回しか食べないくせに偉そうにいうなと言われてしまいそうだが きっと鹽酥雞を食べたことがある人ならわかるはず こういうのは時々無性に食べたくなるものなのだ

先日珍しく夜のクラスで参加したヨガの帰り 久しぶりに軟骨を買いにいつものお店に寄り道した いつもと言っても年に数回で トータルでもまだ10回もきていないと思うし 近所といえど日常的に店の前を通ることもないのだが 店主はおそらくわたしを覚えている 軟骨一人前の日本人 そして辛味調味料はいらない というところまではっきりとデータ化されているはずだ

この軟骨に合わせるのはもちろん台湾ビールだ この組み合わせが一番美味しいに決まっている 台湾ビールは日本のビールに比べてあっさりしているので 最初は物足りなさを感じていたけれど 今はそのあっさりした軽さが飲みやすくて気に入っている それにローカルフードにはやっぱりその土地の飲み物が合う

サクサクでカラッとした軟骨を味わい さっぱり軽い台湾ビールで喉を潤す 数分で終えてしまう至福の時間

ヨガで身体を整えたことを帳消しにしているようでもあるが それ以上にヨガに行った満足感と 罪悪感すら覚える美味しさで精神的な部分を満たしているのだから そこはプラスになっていると思いたい

この満足感は一瞬のことだとしても この一瞬を楽しみに暮らすことは決して悪いことではないだろう

そんな刹那的な満たしかたをいくつも知っている方が 自分をうまくコントロールできる気がしている   



*中国語

鹽(鹹)酥雞 yan2(xian2)su1ji1 / ㄧㄢˊ (ㄒㄧㄢˊ)ㄙㄨ ㄐㄧ


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