見出し画像

#072 はじめての自助餐

日中の気温はいまだに夏を引きずっているのに 暦だけは時を進めていく
9月なかば わたしは大学2年生になった

およそ3ヶ月の長い休みを経て 再びこの校舎に戻った

登校2日目の昼 クラスメイトから学食に行かないか と誘われた
この1年間ほぼ空っぽになっていた学食 なぜかほとんどの店が閉まって セブンイレブンと朝ごはん屋さんだけがなんとか学生を支えてくれていた
それがこの夏休み期間に工事が進み なんと学食が再び賑わうのだという

台湾あるあるで工期が遅れているのか まだすべての店舗が開いたわけではないが 自助餐というセルフ式のお弁当やさんは新学期に合わせて開店したようで クラスメイトはそこに行こうと誘ってきたのだった

セルフ式のお弁当やさんは台湾では一般的で街中にもちょこちょこある おかずの種類が豊富なため 自分好みのお弁当を作ることができるしお手頃なのだ
しかし台湾に住んで丸7年 実は一度も利用したことがなかった

12時のチャイムが鳴る前に講義を終えたわたしたちは 早めに学食に向かったのだが 新しくなった学食はすでにお腹を空かせた学生たちで溢れていた 開いているお店がその弁当屋しかなかったこともあってか 店には長い行列ができていた

混んでいる中でなんとか空席を見つけ 荷物を置いたら いよいよ列に並ぶ
まずは学食内で食べる用の食器か 持ち帰り用の皿かを選び トングを持つ
ゆっくりと進む列に合わせて目の前にあるおかずと少し前にあるおかずを見比べる 肉類に比べて野菜や豆腐、きのこ類で作られたおかずの種類が多い わたしは八宝菜風の白菜のおかずやゆでたブロッコリー 四季豆の素揚げなどを皿にとった
メインとなるおかずはフライドチキンに決めた

ご飯は一杯の量と金額が決まっているので レジ前で最後に注文するシステムだった 白米はすでに売り切れていたので紫米を注文した すると店員のおばさまが あらかじめお椀に装われていた一杯分のご飯をひっくり返して わたしが丁寧に盛り分けたおかずの上にドーン おかずは見えなくなった
あまりの大胆さに何も言えず そのまま会計を済ませてレジを離れた 食事は視覚でも楽しむのが普通な日本人にとっては 台無し感がすごくて もう長い台湾生活 驚くことなんてないのだけど ちょっと残念な気持ちになった

仮にも美味しそうとは言えない見た目にはなってしまったのだが 初めてのセルフ式弁当は なかなか良かった ご飯の量を調整したいなら自宅から小さいおにぎりを持参して おかずだけ買うのもありだなぁなんて思ったりもした

講義の時間の兼ね合いで学内でランチを済ませなければならないのはせいぜい週に2、3回だがレパートリーが増えるのはありがたい 語学センター時代に好きだった雲南料理がなくなったのは残念だが 新しくなった学食をこれから少しづつ楽しみたい

明日のお昼は何にしようかなぁ


*中国語

自助餐  zi4zhu4can1      ㄗˋㄓㄨˋㄘㄢ
吃到飽  chi1dao4bao3    ㄔㄉㄠˋㄅㄠˇ
(食べ放題)


Spotify





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?