J-CASTニュース「場面緘黙」記事

2023年10月01日J-CASTニュースで「場面緘黙」がとり上げられました。この記事には、緘黙経験者でかんもくネット会員の3名の方がインタビューに協力。場面緘黙を知らない人でも理解しやすい内容になっています。
みなさん、ぜひご一読を!

「授業中は音読も挙手もできない」「話せるようになっても雑談が苦手」 
 DJ SODAさんも苦しんだ「場面緘黙」とは

2023年10月01日13時00分(J-CASTニュース編集部 高橋佳奈)

1)そもそも場面緘黙とは
  場面緘黙研究会の奥村真衣子 信州大学助教の解説
2)症状が改善してきた「中学以降の方が苦しかった」
  場面緘黙に関わる活動を行っている20代後半のヤマダ(仮名)さん
3)教師から馬鹿にされ...それでも「高校では絶対喋るぞ」と固く決意
  小2から中3まで場面緘黙の症状があったムラタ(仮名)さん
4)自助グループのイベントやボランティアで発話の練習
  小学校高学年から高校まで症状があった大学生のカワグチさん(仮名)

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J-CASTニュース編集部の高橋佳奈さんから、取材申し込みがあった時、
性的虐待と場面緘黙を結び付けて読者に伝わることを危惧しました。
場面緘黙は、ショックな出来事で生じるストレス障害ではありません。
(ただ、PTSDのようなストレス障害をあわせもつ事例はあります。また、場面緘黙ではない人にトラウマの影響があるように、場面緘黙の事例でもトラウマは大きな影響を及ぼします)
かんもくネットは、このことをしっかり踏まえて記事を書くことを条件に、今回取材に協力しました。以下は、この記事への私の感想です。

◆ ヤマダさんへ
記事には、症状が改善してきた「中学以降の方が苦しかった」とありました。場面緘黙の症状が解消したとしても、発話時の不安や緊張が解消されたわけではないと、よく耳にします。
そこからが発話練習や社交スキル習得のスタートなんですよね。
それでも「緊張とともに話す」チャレンジを積み重ねられたことが、ヤマダさんの発話スキルをさらに伸ばすことになったのだと思いました。
場面緘黙に関わる活動を行っておられるとのこと。心より応援しています。

◆ ムラタさんへ
「高校では絶対喋るぞ」と固く決意され、中学の卒業式の日に発話に成功したんですね。
その後も場数を踏みながら徐々に慣れていったとのこと。
ムラタさんの勇気に拍手を送ります!
それから、家族や先生の対応につらい思いをしたとありました。
子どもたちが「安心できる環境」で支援を受けることができるよう、これからも啓発を続けることが必要です。ぜひお力をお貸しください。

◆ カワグチさんへ
記事によると(専門家の先生の勧めで)高校生の時に「クラスメイトと空き教室で会話の練習」することで、少しずつ症状が緩和したとのこと。
それぞれの子どもの状態に合わせたステップを、周囲の大人が提案できることが大切です。
今も自助グループのイベントやボランティアで発話の練習を続けているとのこと。「理解のある中で練習をすることで、失敗体験にならない練習ができた(成功体験を重ねた)」これがとても大切と思いました!
これからも、啓発活動への協力をどうぞよろしくお願いします。

一口に場面緘黙といっても、症状は多様です。
今回取材を受けた3名の経験者も、それぞれ症状や経過が異なりますが、
三人とも人とかかわることへの動機づけが高く、少しずつ発話の機会を重ねる努力してきたことを感じました。
場面緘黙に苦しむ子ども達に家族や学校の先生・支援者がどのように対応していったらよいか、今後も場面緘黙をどう啓発していくか、共に考えていきたいと思いました。

かんもくネット会員の3名のみなさん、取材への協力、本当にありがとうございました。
そして、J-CASTニュースの高橋佳奈さん、ていねいな取材と分かりやすい記事をどうもありがとうございました。

かんもくネット 角田圭子(臨床心理士・公認心理師)