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竜宮送電計画 : 日本を南北に貫く直流送電線建設の提案 (2020年4月30日)

※竜宮送電計画 改定第三版(2021年6月7日版)は下部よりダウンロード出来ます。どうぞご利用ください。

1. 背景・目的・意義 世界で台風・山火事などの気象災害が多発している。日本でもここ数年、大きな気候災害が頻発している(注1)。地球温暖化が進展すると、この悪影響・気象災害が大規模になると予想されている。

 今年は「パリ協定」の実施が始まる。また同協定や持続可能な開発目標SDGsなどを契機に、世界で地球温暖化対策・再生可能エネルギー転換が進んでいる。市場も、脱炭素・再生可能エネルギー利用を前提に大きく転換しつつある(注2)。
 世界の再生可能エネルギー電力のコストは火力発電なみかそれ以下に低下している(国際再生可能エネルギー機関2018,注3)。しかし日本では普及が進まず価格も高い。

 日本はさまざまな再生可能エネルギー資源に恵まれ、電力消費を大きく上回る膨大な再生可能エネルギー電力の供給可能性がある(注4)が、その導入拡大が系統制約(送電線に接続できない)により進まない。現実には送電されていなくても、制度運用上空きがないとされている(注5)。

海外では国際送電線も含め北米や欧州で拡張計画が多数あり(ENTSO-E,2018)、中国も地域内送電線の計画が多数ある。日本では地域内および地域間連系線の拡大計画はあるものの、これまでのところ限定的である(注6)。
 再生可能エネルギー電力の普及は、地球温暖化対策、脱炭素の主要対策のひとつである。再生可能エネルギー普及で北海道・東北の風力発電、西日本の太陽光・風力発電を、関東・中部・近畿の大消費地とつなぐことができる。省エネによる電力消費の大幅削減や一極集中是正による電力消費の分散も大切だが、大消費地の電力需要にも現実的に対応しなければならない。

また、今後、コミュニティ内で再生可能エネルギーを相互融通、優先消費するにも、過不足の場合に系統に接続する抜本的な制度改革も必要であろう。
 大容量の直流送電線が建設されれば、経済効果も大きい。
例えば風力適地での大規模な洋上風力発電等の建設を呼び起こすことになる。日本でも今後安くなる再生可能エネルギーで事業を行い企業の国際競争力を維持できる。

世界の市場では脱炭素を求める方向がある。例えば、EU委員会で排出ゼロ法案の中のカーボン・リーケッジを引き下げる国境炭素税(国境税調整措置、carbon border adjustment)(注7)についてパブリックコメントが募集された。このような脱炭素に向かう市場において、国際的サプライチェーンに留まるためには、日本においてもRE転換のためのインフラ投資は必須と思われる。
また化石燃料輸入費を大幅に削減できる(注8)。
地域からの光熱費流出防止、自治体や地元企業による再生可能エネルギー投資のみならず外部からの対策投資を得て地域企業が受注し地域経済活性化・地域雇用拡大、人口減防止が期待できる。
コロナショックをきっかけとする人類の持続可能性へのパラダイムシフトとして望ましいものの一つであろう。

 直流送電線を使うことは、交流送電と比較して、以下の3つのメリットがある。
(1)送電ロスが小さいこと
(2)長距離では建設費が安いこと
(3)日本の電力では東西で周波数に相違があるが、直流送電ならこの差異は問題とならないこと。

 これまでも広域送電に関して以下のように様々な提案がなされている。

続きは以下よりダウンロードをしてお読みください。


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