今日で14年間働いた行政システム系SIerを退職します

今日(3/31)で、新卒から14年間勤めた行政システム系のSIerを退職します。ずっと働くと思っていたこの会社を辞めることに、正直自分が一番驚いています。人生の節目のこの機会、おそらくこれからは時間も取れないので、これまでのSE人生を振り返ってみます。

就活時代(2006年~)

ITバブル真っ只中、華やかなweb業界に憧れはもちつつも挑戦できず。地元のIT企業で、地元に貢献していこうと、漠然とした将来を考える。
ご当地の行政システムを請け負うSIerベンダが地元にあることを知る。堅実な業界イメージが自分に合っている気がしたので就職を決める。

新人時代(2007年~)

PGをするとばかり思っていたが、運用支援部門配属となる。SIerといっても、導入や運用支援、プリセールスなど、PGをしない部門の方が多いことを知る。日本全国へバンバン出張する様になる。
当時はクラサバ型の業務システムがまだまだ残っていて、バージョンアップの度にクライアント側での作業も発生。大きな自治体だと支所がいろんなところにあり、何日もかけて先輩と回る。ご当地の名物を調べておいて、宿泊先で楽しむ。
当時はスマホもなかったので出張手配が一大仕事。電車やバス、船や飛行機を乗り継いで、遥々たどり着いた先で自社システムが活躍していると感慨深い気持ちになる。

若手時代(2008年~)

2008年頃にはiPhoneが登場する。スマホの乗換案内アプリのお陰で出張が劇的に楽になる。プライベートではパソコンをほとんど開かないようになる。
仕事のIT環境は行政システム業界なので当然、閉じたネットワーク、オンプレミス。サーバ室でバッチ連携処理のメンテナンスや要望対応、障害対応をする日々が続く。
仕事で扱うIT環境とプライベートのITはもはや別ものという感覚があった。いくら外の世界が変わっても、行政システム業界は今の様な仕事が続くんだろうなと思っていた。数年後にはあの先輩がやっているあの仕事を引き継いでいくんだろうな、と考える。

中堅時代(2014年~)

8年目くらいになると、行政システム業界の全体像も何となくわかってくる。自治体ごとに共通している業務、独自の事業、背景になっている制度、それを取り巻くいろいろなベンダ、システム群。
顧客の職員さんは定期的に異動があるので、時には顧客から業務フローを聞かれることも。上司や営業からも頼られる。役職もつき、新人のトレーナーもする。出来るSEになったような気がして、慢心する。
行政システムも、データセンターの仮想環境上に構築することが増える。顧客先に訪問しなくても作業が可能になり、好きだった出張は減る。

新規事業企画時代(2018年~)

既存案件のリーダー職と兼務しながら、新規事業企画も担当させてもらえるようになる。他部署のメンバーや社外の人との交流も増えて、視野も一気に広がる。仕事が楽しくなり、社外のコミュニティや勉強会にも参加し始める。
この頃から顧客の自治体事業でも、民間のようなPDCA計画策定や、事業評価に応じたインセンティブ制度が始まる。行政システム業界自体にも「DX」「レガシーシステム維新」「自治体システム標準化」「クラウドバイデフォルト」といったワードが飛び交い始める。

新規事業企画の失敗

クラウドのBIツールやAIサービスをいろいろ調べ、「このツールは絶対、あのお客さんのこの業務で使えるはず!」と勇み足で企画をつくるものの、上司や顧客から受け入れられない日々が続く。
メリットをわかってくれないと悔しがったが、今思えば、流行りのツールを実案件で使うことが目的になっていた。実案件は決して、検証やチャレンジの場では非ず。会社は利益を出さねばならず、顧客は、関係者への説明責任や、来年再来年と続く運用まで見据えなければならない。当たり前の事が疎かになっていた。

東京転勤(2020年~)

本格的に新規事業創出に軸足を置くため、2020年頭から東京転勤になる。初めての東京生活、やる気満々で着任。と同時に、コロナ禍に。顧客である自治体側も多忙になり、新規事業としての仕事は皮肉にも暇になってしまう。
自治体が混乱しているニュース、保健医療の現場職が疲弊しているニュースを見るたび、有事の際にはまったく社会の役に立てない自分に無力さを感じる。

転職のきかっけ

2020年の上半期頃から、自治体職員自らシステムを作り有事を乗り切るGovTechのニュースがたくさん飛び込んでくる。行政のトップが、アジャイルやシビックテックなんかの考えをSNSで発信し始めたことに驚く。SE、エンジニア人材が活躍できるフィールドが自治体内にもあることを知って興味をもつ。

急に始まった在宅ワークで、今後のことを一人で考える時間が増える。会社ではもういろいろなPJのリーダーになっている。顧客の年間事業もいくつも担当している。無責任に放り出すわけにはいかないと悩む。
でも偶然に時間が出来た2020年、迷ったのなら1回だけチャレンジしてみよう、それでご縁がなければ今の仕事に集中しようと決めて、自治体中途採用に申し込む。

これから

幸いにも自治体ICT職として採用いただき、転職を決めました。
まず、兎にも角にも今の自分があるのは100%会社のお陰です。感謝してもしきれません。
コロナの収束が見えない今の状況で自治体の中に入る以上、役に立てなければ意味がありませんし、送り出してくれた上司、同僚、今の顧客にも顔向けできません。
明日からいよいよ初勤務、新人時代の気持ちに戻り、無我夢中で頑張ります。

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