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☆試し読み☆ 『現代文のコア』その1

7月8日発売『現代文のコア 読解のための最重要テーマとキーワード』より、【試し読み】をお届けします。

本書は、大学入試現代文に頻出のテーマを全60コアに凝縮し、ストーリー仕立てでわかりやすく解説した1冊。「現代文が苦手でアタマに入ってこない…」という方は、コアから始めてみませんか?

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今回は、第5章「哲学」より、コア25【そもそも哲学とは】をご紹介します。

コア25【そもそも哲学とは】哲学は、上に伸びていくために必要なもの

さあ、哲学でーす。やってまーす。
なんて爽やかに言うと、「哲学はそんなもんじゃない」と、眉間にしわを寄せ、無精ヒゲで、髪もボサボサに伸びてる細身の哲学者に怒られてしまいそうですかね。
そういうイメージがたしかにありますが、すみません、それは「哲学とは何か」をワカッていないから発生しちゃうイメージ先行です。哲学については、このイメージ先行が多くて、ヨクワカラナイのに「彼には哲学があるからさ」なんて言ったりします。
ですから、ワカッてもらえるように、「哲学とは何か」を一言にしてみますと、「見えない”真理“”答え“を出そうとすること」です

真理とは、正解とか究極価値とか、そんなふうに思ってください。
それは人間の目には見えません。見えないのに、その答えを出そうとアタマをひねるのが哲学者ですし、勘違いかもしれないけど「答えが出た!」とふるまってる人を、「彼には哲学がある」なんて表現するわけです。
そして、いちおう出た”答え“ごとに名前が付けられました。「実存主義」とか「構造主義」とか、そういうカタい名前です。「民主主義」「平和主義」などのメジャーなものから数えていっても無数にありますね。

しかしながら、真理を考えたからといって、なんでもうまくいくとは限りません。でも、真理を考えてから行動を開始したほうが、基礎がしっかりしていて、上に伸びて行きやすいのは間違いありません。
皆さんの受験勉強も同じではないでしょうか。「司法制度がおかしい、ニュースで知った判決に納得いかない。だからじぶんは法学部に行き、司法試験を突破して、法曹界に入るゾ」というのは哲学です。そうしたら、早く法律の勉強をしたいから受験勉強なんかはとっとと終わらせよう、となりますよね。

このように、哲学はすべての基礎として、上に伸びるためには必要なのです。学問の世界では「哲学」は一目置かれています。研究者には価値がわかるのです。ただ、社会に出るとき(就職など)には、一目置かれていないようです。

現代社会では、すぐに結果だけ欲しがる風潮があるようです。基礎の哲学なしに上に伸びようとして、結局ぐらついてコケちゃうなんて事態は、いろんな分野で発生しています。というか、増え続けています。
ですので、現代文では、それを問題視して語っていくものが増えているんだと思っておいてください。

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入試での出題例

・2020年 上智大(法)
・2019年 早大(法)
・2018年 関西学院大(文)

関連重要語句

□主義の分類
思想の分類をして業績にする、哲学者の態度ではない哲学学者。
□philosophy
英語で「哲学」の意。世界や人間についての根本原理を追求する学問。広い意味では、人生観・処世観・達観なども含む。
(参)語源となったギリシア語のphilosophiaは「知を愛すること」を意味する。
□PH.D.
「哲学博士」を意味する英語のPhilosophiaeDoctor の略。一般的には、哲学に限らず博士号または博士号取得者を指す。
□基礎研究
特定の用途を目的としない、技術や理論の新知識を発見するための研究活動。
□認識
知ること。あるいは知った事柄。
□自我
じぶん、自己。哲学では、意識や行為の主体となり、他者や外部の世界とは区別して認識される自己を指す。

【そもそも哲学とは】こぼれ話

京都大学は、ノーベル賞受賞者もフィールズ賞(数学のノーベル賞)受賞者も圧倒的に多いわけです。
それは京都大学が基礎研究を重視する大学だからなのでしょう。伝統的に哲学分野は強いですし、全国の大学を見たら工学部が多いのに理学部の存在感がすごいわけです。工学部はアイデアの実用化、理学部は未発見のアイデアを追求します。数理解析研究所(RIMS)には望月新一教授がいらして、フィールズ賞2~3個分と言われる数学未解決問題を解いたとのニュースもありました。



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