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☆試し読み☆ コツコツ型の受験生におすすめ!『無敵の現代文記述攻略メソッド』その1

現代文記述問題の対策を始めよう!と思っている受験生も多いのではないでしょうか?記述の対策をしていて、「なんだかうまくいかないな…」と感じている方や、「模範解答例と自分の書いた答えがだいぶズレているな…」と思った方は、もしかしたら、記述の一歩手前から始めてみるといいかもしれません。

本書は、「読むこと」「書くこと」のつながりをていねいに示した骨太の1冊。文章を精読することが、実は、書くことの大きな助けになる!ということが実感できます。

現代文の記述問題を得点源にしたいと思っているコツコツ型の受験生におすすめです。

今回は、section1より、「記述力をつけるのに有効な方法とは?」「本文メモの重要性」をご紹介します。

小池先生の受験指導の経験から導き出された「記述力をつけるのに有効な方法」が説明されています。

記述力をつけるのに有効な方法とは?

それでは、全受験生に必須と言える「記述力」は、どのように身につけていけばよいのでしょうか?

ここでちょっとだけ、昔話をさせてもらいます。
かつて僕も、皆さんと同じ受験生でした。そして僕の目指していた大学は、ものすごい量の文章を読ませ、その内容を正しく理解できたかどうかを問うてくるところでした。英語も現代文(もしくは小論文)も。すると、どうしても、
本文の途中まで読み進めると、前半のほうに何が書いてあったか忘れてしまう……!
そして、
その結果として、本文を読み終わっても全体像をイメージすることができない……!
という状態に陥りやすい。これは皆さんの中にも、同じ経験をしたことがある人は多いんじゃないかな。

そんな時、僕は予備校の小論文の先生から、とあるアドバイスをちょうだいしたのです。それは、メモや書き込みをしながら本文を読む! というもの。
……と聞くとおそらく皆さんの中には、「考えたことを、すべて書かなきゃいけないのかな」と不安になる人や、「メモと言われたって、何をどう書けばいいのかわからないよ」と頭を抱えてしまう人もいるかもしれません。

でも、そんなに恐れないでください。

実は、メモと言ってもそんなに難しく考える必要はありません。たとえば、「あ、ここ、この段落の中でいちばん大切な一文だな」って思ったら、そこに線を引っ張って「大切!」と書き込んだり、もしくは、よく意味のわからない表現に出会ったら、「?」と書いておいて、その後、それの意味を教えてくれる部分に遭遇したら、「!」と書いてさっきの「?」と矢印でつなぐとか。
そして特に、冒頭段落や明らかに重要なことを述べている核心的な段落に関しては、単に線や矢印を書き込むだけじゃなく、その段落の要点を整理し、欄外にメモする! ということが、ものすごい効力を発揮する。

たとえば、

いまだ歴史の始まる以前、人々は、世界と一体となって自らの生を歩んでいた。それぞれの村落の信仰するそれぞれの民族宗教を基盤として、自らを、他の存在物と同じく、偉大なる神々の創り給うた被造物として把握していたからだ。

なんていう文章があったら、

太古の昔……人間→世界と一体
《理由》信仰→〈人間&他の存在物=神の被造物〉という認識

といった感じにまとめればいいわけです。

具体的な作業の方法については後で説明します。
最初はたどたどしくても大丈夫。この本をしっかりと読んでもらって、そして自分なりにコツコツと作業していけば、必ずできるようになります!

なお、実際に試験問題を解く段階では、
・重要な段落だけメモを作成
・他の段落は線や矢印、○囲いなど

という区別が必要になります。それはもちろん、制限時間があるからです。

しかし、これから読解力や記述力を鍛えようという段階では、すべての段落についてメモを作成するのがベストです。少しぐらい時間がかかってもかまいません。

とにもかくにも、こういった作業を毎日続けた結果、現代文や英語長文さらには小論文の要約や意見論述が、いつのまにか僕にとって大の得意科目になっていました。
どれくらい得意になったか?
これはちょっと自慢なのですが、僕が当時通っていた駿台予備学校の「小論文模試(英文読解)」で全国1位をとったことがあるんですよ! かつ、(結局落ちちゃいましたが 笑)、東大小論文模試で文Ⅲ志望全国7位、慶應オープンの英語長文(文学部型)で全国16位を奪取したこともあります。
ちなみに僕の通っていた高校は、進学校とは正反対の校風で、そもそも大学進学率がおそらく5割にも満たないところ。さらに僕はそこで完全にドロップアウト組で、ろくすっぽ授業も出ていない状態でした。卒業認定が出せないと言われ、大量の作文を書かされ、それでぎりぎり卒業させてもらえたレベル。高校3年間でまともな勉強などまったくしたことがなかったわけです。そんな感じでしたから、当然浪人(しかも2年 笑)することになったのですが、その2年目で先ほどの方法と出会い、以上の結果を出したのです。

ですから、まじめに学校に通い、そして今このような参考書を手に取っている皆さんなら、コツコツやるべきことをやれば、絶対に結果を出せるんですよ!
さあ、本題に戻りましょう。
この節のテーマは「記述力をつけるのに有効な方法とは?」でした。
そして実は、僕がここまで述べてきた「本文メモ」の作成こそが、「記述力」をつけるのに有効な方法なのです!

そう。
この本を手にしてくださった皆さんには、ぜひとも、記述力をつけるために、本文内容を整理し、メモしながら読む訓練を積んでもらいたいのです!

本文メモの重要性

僕は今の予備校で教壇に立つまでに、中高受験塾で指導していた経験があります。そして僕が指導していた塾は、基本的には生徒に予習をさせず、授業内で問題を解かせるスタイルをとっていました。ですから僕たち講師は、生徒がどのように問題を解いているのかを、じっと観察することができた。そして実は大学受験の予備校でも、テストゼミ形式の授業があるので、そこでもたくさんの生徒の答案作成の現場を見てきたわけです。それでわかったのが、いわゆる現代文を苦手とする子、中でも記述を苦手とする子の多くが、

すべての作業を頭の中だけで行おうとする

傾向が強いのですよね……。
簡単に言えば、頭の中だけで答案の内容を考えて、いきなり解答用紙に書こうとする。
でも、ちょっと考えてみてください。
しばしば、文章を書く際の「*推敲」の重要性が指摘されます。一度書いた文章を自分で点検し、表現の不備や論理のねじれ、破綻などがないかチェックする。そうしないと、自分が言いたいことを理解してもらえる文章にはなりませんからね。
では、皆さんは、自分の頭の中にある文章を正確に推敲するなんてこと、できますか?
もちろんできませんよ、そんなこと。文章を*なりわいとしているプロだって、絶対に無理です。

でも、自分の頭の中にある文章を正確に推敲することができないということは、逆に言えば頭の中にある文章をアウトプットすれば自己点検できるということでもあるはずです。
そう。人は、考えていることを頭の中にしまっておいたままでは、それが正しいかどうかを正確に判断することなどできません。

ではどうするか?
それをきちんとアウトプットする、すなわち実際に書き出すことが大切になってくる。
頭の中にある考えやイメージは、実際に書き出してみてはじめて、自分の目で確かめることができるわけです。ちょっと難しい言い方をすると、自分の考えを〈対象〉として見るということですね(本書では、これを「対象化」と呼びます)。こうなれば、自分の考えの何が正しくて何がおかしいのか、自力で分析することも可能になるというものです。

もうおわかりですね?
記述問題をすべて頭の中だけで処理しようとする人は、結局、自分の思考を実際に書き出して対象化することができないために、いつまでたっても正確な答案を作成することがままならないのです。
だからこそ、記述答案を作成するうえでは、

自己の思考を書き出し、対象化する!

ことが大切になる。そしてそのための具体的な訓練法が、これまで何度も述べてきた、

本文内容を整理し、メモしながら読む訓練

なのですね。

もう一つ自分語りをしてしまうと、僕は大学院に通っていた頃、教壇に立って指導をする以外にも模試の採点者という仕事をしていました。業界最大手の予備校が主催する全国実施の模試を本当に数えきれないほど採点してきました。そしてそこで、

「あー。この子、自分の考えをちゃんと点検せずに書いちゃってるな~」

という答案を山ほど見てきたわけです。そういった答案は、たとえば着眼点は良くても全体としては言いたいことがわからなかったり、あるいは最終的な詰めが甘かったりして、結果として低得点、ひどい場合は0点になってしまったりする。もちろんその子が実際に模試を解いている現場にいたわけではないですからこれはあくまで*臆測でしかないのですが、おそらくは自分の思考を書き出して対象化するという作業をしていなかったのだと思います。特に、書いては消し、書いては消し……という痕跡のありありと残った
答案は、書き出した内容を自己点検し、細部を詰めてから清書するという作業をしていないことがよくわかります。いきなり完成答案を書こうとするから、途中で間違いに気づいて、そのたびに消すという無駄を繰り返しているわけですね。これでは時間がどれだけあったって足りません。
まとめましょう。

記述力は、全受験生に必須のスキル

自分の思考を対象化するために、メモする習慣をつける

最後に。
もしかしたら皆さんの中には、「思考を書き出すことの重要性はわかった。でも、それを訓練するなら、普通に記述問題をたくさん解けばいいじゃん。別に読んでる最中にメモすることなんて必要ないでしょ」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、問題をたくさん解くことも大切であることは間違いありません。
けれども今は、やはり文章の読解に集中し、その中で「本文メモ」の作成に慣れてほしい。
理由は、二つあります。
一つ目は、記述問題には、高度な思考を要求するものやひねくれた出題も多く、記述が苦手な受験生がいきなりトライするにはふさわしくない場合があるからです。それなら、目の前の文章の内容を素直にまとめる作業のほうが圧倒的に取り組みやすい。まずは取り組みやすいところから始めることで、苦手意識を*払拭できるのです。
そして、より大切なのが二つ目の理由。
入試現代文は、結局のところ〈目の前の文章を正確に読み取ることができたかどうか〉を試すものです。
つまり、それが選択肢問題であれ抜き出し問題であれ、そして記述問題であれ、問われているのは〈本文理解〉ということ。自分が読んでいる文章の内容をしっかりとまとめる力を身につけることができれば、どのような問題でも解ける。ひいては、難度の高い記述問題でもしっかりとした答案を作成することができるようになるのです。
だからこそ、今は問題を解くことよりも、本文内容を正確に把握することを意識してほしい。したがって、

本文内容を整理し、メモしながら読む訓練

を積んでいくことに重きを置きたいのです。

この方法で勉強して、もとは偏差値40台だったにもかかわらず偏差値80を叩き出した生徒や、進学実績の低い学校に通いつつ、たった一年で成績を上げ(偏差値30台→センター試験87%)、現役でマーチに合格した生徒、あるいは、自称「現代文の模試で漢字以外マルがついたことがない」状態からセンター試験現代文で75%を取って、第一志望校に合格した生徒など、大成功を収めた受験生が数えきれないほどいることをつけ加えておきたいと思います。

*語彙力UP!*

【推敲:すいこう】
・文章を書く際に、言葉のつかい方などをよく考えて練ること。
・「門」を「推( お) す」と「敲( たた) く」のどちらの表現にしようかと迷った古代中国の詩人のエピソードに基づく故事成語。
【なりわい】
・生活するための仕事のこと。
・漢字では「生業」と書く。
【臆測(憶測):おくそく】
・おおざっぱに推しはかること。
・あて推量。
【払拭:ふっしょく】
・すっかり取り除くこと。
・「払」は「はらう」、「拭」は「ぬぐう」という意味。


お読みいただき、ありがとうございました!

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