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只見保養センター指定管理者募集について

はじめに

今回はちょっと長いです。伝えたい内容をざっくり書きますと、

・町の情報発信のこと
・指定管理制度のこと
・町民の関わりのこと

です。6,000文字ぐらいなのでお時間あるとき。X+Y=Zみたいなのもでてくるので頭軽い時に。
2月21日8:15更新。感情的に書いた箇所は削除しました。

只見保養センター ひとっぷろまち湯とは

只見町インフォメーションセンターのHPには、以下のように紹介されています。町民の憩いの場です。

2013年9月1日に只見保養センター「 ひとっぷろまち湯 」がリニューアルオープンしました。2011年7月の豪雨災害の被害を受け、止むなく閉鎖されていましたが、再開を願う多くの方々の熱い想いとご支援で、お風呂場から食堂まで真新しくしてついに再オープンにこぎつけました。残念ながら源泉の使用は困難な為、沸かし湯での営業となりますが、浴室にはサウナも設置され、町民の憩いの場として、観光客のくつろぎの場としてご利用していただければと思います。


町の情報発信の取り扱いについて

先日の2022年2月15日正午をもって、只見保養センターの指定管理者の応募募集が締切となりました。募集のための資料も同時刻まで配布となっており現在閲覧できません。残念ながら只見町HPに載せていた記事ごと削除されております。募集があったかどうかの事実がHPで確認できなくなるので、記事は残す、資料は公開を停止する。の方法が良いのではと思います。
(2022.2.18 16:08時点)

指定管理者制度とは?

指定管理者制度(していかんりしゃせいど)とは、公の施設の管理・運営を、株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる制度である。
(Wikipediaより引用)

いつもどおり、ざっくり書きますと「建物は町のもの、運営は民間に任します」という制度です。
もう少し書くと「○○というサービスを町民に提供するための施設です。そのためにこのお金でやってくれる方々を募集します。この施設を使って民間の強みを活かしたより良いサービスを提供してくれた部分は、運営者の利益としてください」という制度です。解釈に誤りがあったらすみません。

今回は2回目の募集

実は10月1日に、只見保養センター ひとっぷろまち湯の指定管理者の募集がありましたが、応募者がありませんでした。なぜかこちらの応募記事は残っていました。

※今、只見町が公開していない書類は、ここでは公開しません。私の手元にある資料に記載されてある文言や数字を転載するに留めます。

応募条件として、要項を確認すると、次のようにあります。

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2021/09/28/921c20bff3722ecdf05390c6126e2119.pdf

3 指定管理者が行う業務の範囲
業務の範囲については以下のとおりです。
(1) 只見保養センター施設の供用、運営に関する業務
① 施設利用の許可等、施設の利用手続に関すること。
② 休養施設の経営に関すること。
③ 飲食物の提供に関すること。
④ 物品の販売に関すること。

その後、議会報告会で継続を望む声がでたこと、12月会議の一般質問などで在り方を投げかけることがあったことなどを踏まえ、条件を追加して今回の二次募集となりました。追加内容は下記の1文。(二次募集の資料は今は公開されていません)

ただし、③ の「飲食物の提供に関すること。」は任意の業務とし、必ず行う必要はありません。

そして指定管理料が「飲食物の提供の有無」により異なります。

飲食とお風呂は、10,197,000円
お風呂のみは、 10,417,000円

飲食物の提供もしてね。という方が指定管理料が安く、
飲食物の提供はしなくていいですよ。という方が指定管理料が高い。
只見町は、保養センターひとっぷろまち湯で飲食物を提供して欲しくない。と数字から読み取ってしまいますがどうなのでしょうか。
お風呂のみ営業だけでも営業をしたい。という只見町の考えかもしれませんが、増額する必要はあるのでしょうか。

積算の違いは、屋根除雪が47万円→70万円(実績精算)の増加、
飲食の役務費(南会津公衆衛生組合費15,000円、食品営業賠償共済掛金充当金3,100円、食品衛生自主検査12,600円)が減額
その他電気料などは実績精算となっており、細かいところは少しあります。

誰のための保養センター?

基本は町民の保養のためだと思いますが、利用実態はどうなのでしょうか。

上記のリンクに
「別紙2 平成28年度~令和2年度 利用者数」と
「別紙3 平成28年度~令和2年度 決算状況」の資料があります。

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2021/09/28/530b61c793eb73bfe9b69746026585a8.pdf

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2021/09/28/748608309c80ef0c051df3b3eb633fb0.pdf

そこには、令和2年度の合計入湯者数は6,572人となっており、入湯部門の売上は 1,907,650円となっております。そうしますと客単価は、290円(以下割り切れず)となります。オープン当初の様子の記事には、

「1回の入浴券は500円ですが、10回券はお得な3,000円。」

とあります。この客単価ですと、ほぼ町民利用だと分析できます。つまり現状は観光施設ではなく、町民サービスの施設という評価ができると思います。回数券だけの利用だと最低の客単価は300円になります。小・中学生の入湯料は200円と記載がありました。

今現在の利用料金も変わっていなければ、1,907,650円のような50円単位の金額が出てこないのですが、別途、団体などの割引プランがあるのでしょうか。公式情報がないので不明です。現地調査が必要です。

町内外、大人、子どもの割合の試算

(1)大人の入湯者数をX、子どもの入湯者数をYとし、大人は全員300円(回数券)とした場合
X+Y=6,572人
300X+200Y=1,907,650円
X=大人=5,932人 Y=子ども=640人
X:Y ≒ 9:1
大人9人に対し、子どもが1人の入湯割合になる。

(2)大人は全員400円(一般と回数券半々)とした場合
X+Y=6,572人
400X+200Y=1,907,650円
X=大人=2,966人 Y=子ども=3,606人
X:Y ≒ 4.5:5.5
大人4.5人に対し、子どもが5.5人の入湯割合。これは現実的じゃない。

(3)大人は全員350円(一一般少なめと回数券多め)とした場合
X+Y=6,572人
350X+200Y=1,907,650円
X=大人=3,955人 Y=子ども=2,617人
X:Y ≒ 6:4
大人6人に対し、子どもが4人の入湯割合。これも現実的じゃない。

そうすると、一般の入湯者数(500円)は限りなく少なく、ほぼ全員回数券。つまり町民以外が利用している人は限りなく少ないと思われる。

また決算書の租税公課が982,202円と記載があります。
只見町税条例(第6類 財務 第3章 町税)には入湯税は150円と記載があります。

(入湯税の税率)
第143条 入場税の税率は、入湯客1人1日について150円とする。

(1)大人9、子ども1の割合だったとすると、大人は5,932人。子ども640人のうち課税される12歳~15歳(中学生)が1/3の213人だと仮定すると。(12歳以下(小学生)と未就学児は非課税)
5,932人x150円=889,800円。
213人x150円=31,950円
入湯税合計は921,750円となりますので決算の数字と似てくるので、ざっくりの数字としてはこのぐらいでしょうか。入湯料金を決めるときは、こういうところも考慮して決めるんだなと思いました。
同じ200円の子ども入湯料でも、中学生は50円しか粗利がなく小学生は200円ある。そうすると、中学生は大人料金でお願いしようと材料がでてきます。顧客管理や売上原価管理とかもその方が楽になりそうです。

蛇足ですが、例規集で気になったのは以下。

(入湯税の納税義務者等)
第141条 入湯税は、鉱泉浴場における入湯に対し、入湯者に課する。
(入湯税の課税免除)
第142条 次に掲げる者に対しては、入湯税を課さない
(1) 年齢12歳未満の者
(2) 共同浴場又は一般公衆浴場に入湯する者
(3) 深沢温泉における入湯者
(4) 東日本大震災により被災した者のうち、福島県が災害要援護者支援のための一時受入れ施設として指定した施設に被災自治体の長の割振りにより移転し、その移転した施設に入湯する者

(1)鉱泉浴場とは、鉱泉水を利用する浴場。鉱泉水とは、自然に湧き出た地下水のことで、特に水温が 25度未満のものを指します。とネットに書いてあったので、只見保養センターはここに該当するので、入湯税が課税されます。

(2)一般公衆浴場とは、福島市のHPには「※一般公衆浴場とは、住民が日常の公衆衛生のために利用する銭湯などの施設をいいます。」とあります。たぶん解釈は自治体によるのでしょうが、只見保養センターの現状を分析すると、こっちの解釈(課税免除)の考えも該当しそうなのですがどうなのでしょう。

(3)深沢温泉は、季の郷・湯ら里の温泉の認識なのですが、どういうことなのでしょうか。調べてみます。
→2022.03.14更新
ここでいう深沢温泉とは、離れ湯の「むら湯」のことと説明いただきました。
本館の湯ら里の入湯のみ課税対象とわかりました。


1年前の予算委員会での指摘

約1年前の令和3年度の3月会議にて予算委員会がありました。例年3月議会は次年度の予算を決める議会となります。
そこで私は、令和3年度只見町当初予算審議資料要求書として、色々な予算の根拠を知りたくて資料を要求をしたのですが、その中のひとつに只見保養センターがあり、「積算根拠(予算書)、事業内容がわかるもの(計画書)」をとして要求しました。

提出された保養センターの積算根拠の備考欄に(平成27年)と記載があり、「毎年、適正に指定管理料が見直しされているとは思えない。PDCAのチェックが機能していない。この資料で説明責任を果たしていると思っているのでしょうか」のようなことを言いました。アンガーマネージメントできなくてすみません。

指定管理料の気になるところ

それから約1年後、1年間の準備期間や勉強する期間があったにも関わらず、今回の指定管理料で、不適切だと思われるのが、「消耗品(入浴維持清掃消耗品)」の金額です。指定管理料上限額積算表(下記pdf)には月額12万円の12ヶ月、年間144万円の指定管理料が積算されています。では実際にはどうだったかの決算書を確認すると、令和2年度は入浴部門仕入高は99,958円、販管費の消耗品費( 111,261円)を合わせても211,219円しか支出がありません。もし環境衛生費の1,228,138円がそれにあたるとしたら、その前の年の入浴部門仕入高+消耗品+環境衛生費=738,561円です。根拠となりえない。その他も気になることはあります。

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2021/09/28/395947f6521d248d0540675c7a29d88d.pdf

https://www.town.tadami.lg.jp/information/2021/09/28/748608309c80ef0c051df3b3eb633fb0.pdf

適切な指定管理料・体制とは

ざっくり見たんですが、行政のHPよりも、Wikipediaの方がわかりやすいので引用。指定管理者制度についての記載です。

運用上の留意点
指定管理者制度は施設の管理運営全般を管理者に委ねるため、「公の施設が民営化される」という見方をされることが多い。しかし、税金で設置された施設が一管理者によって私物化されるのを防ぐという観点からも、下記の項目などを地方公共団体の条例や協定書および仕様書などに盛り込んでいくことが必要となる。

・定期的な収支報告会・運営協力会議などを設ける。
・利用者であるとともに本来の所有者である市民のチェック制度を機能させる
・管理者自身がサービス向上と改善のための情報収集を行う。
・管理を指定した地方公共団体及び第三者機関による監査
・管理を指定した地方公共団体職員の頻繁なる訪問(業務によっては常駐)による指導。
・社会保険・労働保険の加入、加入すべき職員についての手続きすべてを指定管理者が漏らさず行うこと。
・地方公共団体からの派遣も含めた、一定率以上の正規職員が占める割合の担保

こういう時って、特に感情的になると思うんです。
「やっぱり公務員は...」「民間の大変さをひとつもわかってない」「税金泥棒が」みたいなんになりやすいんですけど、ここを町民みんなが乗り越えるのを目標にしたいと考えましたさっき。誰かを悪者にしても世の中は良くならないとFACT FULLNESSに書いていました。

今回の事例に関してだけ言えば、チェック機関が機能していなかったのではと感じています。同じ事業で同じことが繰り返されてしまいました。

行政職員の方が企業会計はバッチシ明日からOKみたいなことって不可能ですし、そもそも勉強できる仕組みになっていないはずです。
指定管理施設の民間の決算書を読み解ける会計のプロに、第三者機関の監査役としてお願いし、予算計上するのはどうでしょうか。会津若松や郡山などの只見の事業者と関わりがない会計事務所にお願いすればより問題ない。
そして指摘事項はオンラインでやってもらい、全課の職員数名ずつが繋がり、企業会計・経営分析の勉強ができる。そこで指摘された箇所を根拠に指定管理料の見直しを図る。その上で

本来の所有者である市民のチェック制度を機能させる

弱ったメンタルに染みる言葉です。
今回、自分の力不足を特に感じました。今まで以上に町民の皆さんに情報をだして、町に興味をもってもらうことが大切だと感じました。行政にお願いすることや、やってもらうことが興味を持つことではなくて、町がどこに向かっていくのかを自分なりに判断し、面舵をみんなで動かす力が必要なんだと思います。

議員に当選させて頂いてもうすぐ2年です。

目指すところは、自治体経営の健全化、筋肉質な財政だと今回強く思いました。総務省は今までの地方公会計の現金主義、単式簿記では補えない箇所があるとし、発生主義、複式簿記の考えを入れた新たな公会計制度を数年前からやってこーぜーと地方にお知らせしています。

立候補する前や選挙期間中は、「子育て世代を応援、もっと寛容な町に、挑戦できる町に」と強く思っていました。今でもそれは真ん中にあって変わらないのですが、明石市のように「みんなに優しい町」の考え方や、社協のお手伝いでお弁当を配っていると、じーちゃんばーちゃんに元気でいてほしいなと思うようになりました。

なので前までは、いろんな面白いことをやっていく町って魅力的だし、若い人にチャンスがどしどしあるようにしたいと思っていました。外に向けていい町だよとアピールし、町外の人材を獲得するのが最適だと思っていました。

けど最近はそうではなくて、今ある制度を見直しして現状にあったものにリニューアルすることがとっても大切だと思っています。さっき書いたようなことは、民間の方にお任せして行政はそのサポートをすれば良い。
行政がするべきことは、今日困っている人が100人いたら明日になったら、99人になる。それを毎日積み重ることだと思うようになりました。

時代が変われば、制度と制度の隙間に落ちている人が増える。落ちる前に制度を変えて落ちる人を少なくする。経済が回るみんなに優しい町って素敵だなと2年経って思えるようになりました。