広報公聴常任委員会で研修/自治体DX
自治体DXについて
福島県磐梯町さんに研修に伺いました。基本はオンラインでの視察受け入れですが、同じ会津管内ということもあり、対面で受けてくださいました。ありがとうございます。磐梯町にて学びたいことは(質問を事前送付)
町当局が主体的にDXを進めたと思いますが、反対が予想される議会への対策を教えてください。なにを重点的に準備されたのか、予想していない起こったことがあれば特に伺いたいです。
行政職員からの反発も予想されますが、どのように士気を高め改革を進めたのでしょうか。
議会のペーパーレスシステム導入へのプロセスを教えてください。またシステムの採用基準を教えてください。
lgwanとの付き合い方、lgwanメイン回線からの脱却方法。
※lgwanとは行政のセキュリティが高い専用回線。googleサービスが使えないほど強固。We love LGWAN バッチを作る熱狂的なファンができるほど強固です。
磐梯町さんでは、磐梯町議会とデジタル変革戦略室(行政)の両方から教えていただきました。
磐梯町のデジタル変革戦略室では、資料を全て公開し二次利用三次利用OKとされています。自治体DXはひとつの自治体でやっても意味がないということの現れなのだと思います。
デジタル変革戦略室長がアツい
事前質問に丁寧に答えていただき、追加の質問をさせていただいたのが
”室長はDX反対派だったと聞いておりますが、反対されていた理由、現在の職で思うこと、その経緯など教えてください”
です。室長がDX反対派だったのは、
”デジタルは町民との距離を遠くするものだと考えていた。今もそういうデジタルの使い方をしている自治体をみることがある。町民の顔を見て、声をかけて、目の前でサービスをすればいいじゃないか。それが基本です。”
ということをお話いただきました(大意)
そしてこのお話が今回の研修で一番の収穫でした。
紙じゃなくてデータにしよう。経費も削減できるぞ!これぞSDGsだ!
じゃないんですよと。紙は紙の良さがあり、替えが効かないことは紙の方がいいよね。データにはデータの良さがあり、データの方がいいならそっちでいいじゃん。です。
私のDXの考え
議会議員の仕事で大切なことは、
紙とデータ、どちらの方が議論が深まるか。
なのかと思います。例えば、約1年前の住民税非課税世帯へ10万円の給付がプッシュ式(申請なし)で行われる事業設計でした。1年後の今日、物価高騰対策で、住民税非課税世帯へ5万円の給付が可決されましたが、申請が必要な仕組みになっています。(只見町議会)
1年前に可決した内容から、行政サービスが後退しているように見えますが(住民が申請する必要がある)こういったことが、データの方が対比がしやすいということです。
(申請式になったのは扶養の確認が必要な基本設計になったためと理解しています)
iPadのgoodnote5アプリで「住民税非課税」と検索するとすぐに1年前の議案資料がヒットします。「こうじゃなかったかな?」のような思い込みの是非を即座に確認できるので、私は紙じゃなくてデータで議案書を取り扱っています。
予算書決算書も同様に”分割画面機能を使えば、昨年対比しながら確認できる。iPhoneも使えば3画面。””検索すれば200ページの中からすぐに事業名と金額を出してくれる”便利。
移動中のバスの中での研修
1年前ほどに作成した資料を使って議員間で勉強会を行いました。
今見ると、ここ直したいなーとかありますがそれはそれで。
この資料を作成する上で一番大切にしたのが
”こんなこと困っていませんか?”
です。困っているから解決するわけで、デジタルで解決したほうが良いところはデジタルで、アナログで解決したほうが良いところはアナログで。困っていないなら変えなくていい(DXのXはトランスフォーメーション→変革)という考えです。
研修後の勢いが凄まじい
磐梯町さんで研修を終えたバスの車内で、ムードメーカーの先輩議員さんが
俺らも自費でiPad買うべ。やってみないと始まらん。
と呼びかけてくれました。最高か。
買っちまったら、あとは先生(笑いながら僕のことを指す)が設定してくれっから。そうやってみんなで勉強していくべ。
と熱い呼びかけをしてくれました。最高か。
結果、広報公聴常任委員会の6名全員がiPadを自費で購入し、タブレット運用が始まることに決まりました。只見町議会、最高か。
ということで、11月25日のAmazonブラックフライデーの開始時刻に張り付いて一式購入して、12月議会に間に合うように設定します。
今後の議場
いきなり半数以上の議員がペーパーレスで議会に臨む絵はすごいインパクトだと思います。役場の皆さんにとって。
タブレットがあれば、条例改正の際にすぐに例規集に飛び、検索をかけることができます。地方自治法もすぐに調べることができます。
また議案審議の際には「1年前に可決した議案〇号と見比べますと、〇〇に齟齬(そご)があると読み取れますが、どのようにお考えですか?」という質問がタブレットを使うとこれから普通になります。
その質問に「申し訳ありません。1年前の資料を持ち合わせておりません。」という答弁では鬼の激詰めが返ってきます。こわい。
揚げ足を取るとか、重箱の隅をつつくとか、そういうのではなく、ちゃんと議案を掘り下げて審議することができる仕組みのひとつなのかなと思います。タブレットを用いるということは。
そういう緊張感が”一歩離れて二歩離れない”と言われる行政当局と議会の距離感なのかなと思います。
”まだ紙で消耗してるの?”とイケハヤさんが議員だったら言いそうですが、タブレットを使うことは、紙と鉛筆となんら変わりません。地面と木の枝と同じ。その時代にあった道具を適正に使うだけだと教わりました。
磐梯町議会議員のお二人、デジタル変革戦略室長、お忙しい中対面での受け入れありがとうございました。
室長の「議会から始まる自治体DXもあると思います。」が大きな後押しとなりました。