【月】お月見、中秋の名月といえばお団子ではなく。 ライチの場合


テーマ「月」と聞いて、色恋の浮いた話もないし、どうしたら……と途方に暮れていたところ、ひらめきました。
それは中国銘菓、月餅。英語ではそのまんまmoon cakeです。
私、3~4年前に月餅をはじめとした中華菓子にどハマリしまして、ひんぱんに横浜中華街に通っていました。
一度も大陸に行ったことがないわりには詳しいので、少し語ります!
ペンネームのライチも、中華圏の文化が好きという理由で決めました。


月餅は春節(旧正月)の次くらいに大事な中秋節(中秋の名月)の行事食。今年は10月1日ですね。
この時期には家族が集まり、月を愛でながらわいわいいただきます。
なので大陸では9月頃、中秋前後にしか売っていません。
横浜中華街では台湾や香港と同様に、一年中売っています。

月餅でよくある誤解が「世界一カロリーが高いスイーツ」「デブの素」というもの。
確かに、グラムあたりのカロリーが高いのは否めません。
でも、月餅ってひとつを8つくらいに切り分けて、家族で食べる団らんのデザートです。
カロリーがうんぬんは、「ケーキワンホールを一人で食ったら太った」って言うようなものなんで、知らずに外国の文化をばかにするのはやめましょう……。

横浜中華街の華僑さんは広東省出身者が多いのか、売っている月餅はほとんどが広式(広東風)。
あんこを生地で包んで木型で成形し、表面に焼き色をつける茶色いあれです。
しかし大陸は広い。
さくさくのパイ皮に詰める蘇式(蘇州風)や、柔らかいお餅で包んだ冰皮など、いろいろスタイルがあるようです。
いつかは大陸を旅して、各地の月餅を思う存分食べまくりたい!

月餅の中身は豆沙(小豆あん)、蓮蓉(蓮の実あん)、栗子(栗あん)、棗泥(なつめあん)、黒麻(黒ごまあん)、核桃(くるみあん)、椰蓉(ココナッツ)、伍仁(ミックスナッツ)といったあたりが代表的。

日本のあんこと違ってごま油を加えて練ってあるので、中村屋のあんまんに似た甘くてコクのあるどっしりした味わいです。
たまにチョコレートあん、抹茶あんといった変わり種もあり。
中華街には茶葉の専門店も何軒かありますし、ジャスミン茶や凍頂烏龍茶と共にいただきましょう。
ナッツの月餅は甘さ控えめ、コーヒーにもめっちゃ合いますよ。

そして中秋の時期には、満月に見立てた蛋黄(あひるの卵黄の塩漬け)が入った期間限定の月餅が出回ります。

蛋黄が1個入ると、なしのものより300円ほどお値段が上がってムムッとなりますが、ちょっとしょっぱい卵が甘いあんこに合っておつなものです。
家族の仲が険悪にならないようにか、蛋黄が2個、4個と複数入ったものもあります。
中華街の一角にあるローズホテル横浜では、毎年この時期巨大月餅を作ってロビーに飾ります。
中秋の日には無料でお客さんにふるまっているようです。


さて、なぜ私はあんなに夢中だった中華菓子店めぐりをやめてしまったのか。

ある程度ラインナップを制覇して、熱がさめたのもありますが、一番の理由は一緒に食べてくれていた家族と距離ができたからかもしれません。
ひとりでケーキをワンホール食べる人がいないのは、太るからでも飽きるからでもなく、淋しいから。

私も淋しくなっちゃったんだと思います。
はい。秋らしく、しんみりした感じでごきげんよう。

0829ライチ


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