戦争を起こすのは国家主義者

 シンシアリー著「韓国人による恥韓論」を読んだ。
 
 反日教育に毒されていない、比較的中立でまともな感性と論理的思考力を持った韓国人ブロガーによる、韓国の実態暴露本だ。韓国の現状を批判しているので、目次だけでも日本の嫌韓厨が喜びそうな文言が並ぶ。扶桑社がこれを利用し出版したがるのも良く分かる。

 著者が主張する「韓国が言う狂った日本の姿は、韓国自身の姿」という観点は全くの正論だ。しかし、これを他山の石として「日本のネトウヨが言う狂った韓国の姿は、ネトウヨ自身の姿」と自省するネトウヨが果たしてどれくらいいるのかは疑問である。ある程度精神が成熟していなければ、この著者のように客観的に自国を批判することはできない。
 問題はこのような姿勢を、日本のみならず世界各国のネトウヨがなかなか見習わないことである。それどころか、単に自分たちに都合の良いことを言ってくれる外国人は称賛するが、同様に自国を批判する自国民に対しては「売国奴・非国民・国賊」と罵って終わるが常だ。彼ら自身にそのご都合主義的ダブスタを理解させるのは難しい。尤も最初からこの程度の洞察力や自己客観視能力があれば、トンデモ右翼思想に洗脳されることもないのだが。

 どの国の国粋主義者・民族主義者にも共通するのは兎に角、愛やアイデンティティの対象が精々“自国止まり“であるということ。根底にあるのは「自分たち(の国or民族)さえ良ければそれで良い」というエゴだ。
 だから各国の右翼同士は国家権力を巡って互いに喧嘩が絶えない。ロシアとウクライナが今、まさにそれを示しているように。

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