話せば分かるよ、長谷川幸洋さん
「話せば分かる論」をまだ十分に理解できていないジャーナリストの長谷川幸洋氏。「話しても分からない論」は人間不信と猜疑心に塗れたコミュニケーション能力の乏しい短気者が拠って立つ一種のニヒリズム的諦観でしかないのだが、それを堂々と公言して憚らない彼に必要なのは「無知の知」かも知れない。
>問題は「相手を挑発すれば、対立が激化する」とか「静かに話せ」といった主張が、そもそも「安定を損なっているのは誰か」を忘れている点である。それは中国ではないか。
寧ろ忘れていないからこそ主張しているということや、そもそも「安定を損なっているのが誰か」は論点ではない、ということに長谷川氏がいつ気付くのかが問題。彼のような発想をする人は、自分の居宅に強盗が押し入った時にも後先考えずに騒ぎ立て相手を刺激し、余計な損害を増やすタイプと言える。
>中国は「静かに話せば分かる国」なのか。そうでないのは、そう主張している本人たちも、実は内心、承知しているはずだ。
そうは承知していない。あくまで、相手も人間なので話せば分かる、と承知している。実際、中国にも様々な考えの人が居り話せば分かる人もいる。偏見や白黒思考癖がついている者にとっては、相手国の人格或いは交渉窓口が1つしかないように見える、というだけのことだ。
このように単純二元論的発想が過ぎると、中国人以前に「同じ日本人の異見者の心情」にすら疎くなる。
>中国には、十分すぎるほど、他国と自国の国民に対して乱暴な実績がある。もしも、論者たちが本気で「静かに話せば分かる国」と思っているとしたら、それこそ救いがたい不勉強である。
確かに今の中国は未熟故に狡猾で横暴で傲慢不遜な外交を取るが、それが中国の全てではない。相手の乱暴は己の暴論の映し鏡。中国国内の極右勢力や強硬派の姿勢や挙動のみを見て「話しても分からない」と尚早に断じることこそ、救いがたい不勉強である。
>自分たちの基準で相手を判断しているからだ。日本では「話せば分かる」文化があまりにも大事にされているから、「相手はそうではない」と頭で分かっていても、無意識のうちに、つい「相手もそうだ」という前提で考えてしまうのである。
視点を真逆にすると、以下の通りブーメランになる。ポジショントークによくある特徴。
<<自分たちの基準で相手を判断しているからだ。私(長谷川)の周辺では「話しても分からない」文化があまりにも大事にされているから、「相手はそうではない」と頭で分かっていても、無意識のうちに、つい「相手もそうだ」という前提で考えてしまうのである。>>
>メディアにとって、実は「相手もそうだ」という前提で語ったほうが「読者の受けがいい」からである。だから、そういう前提で語ってくれる学者を重宝する。学者も、使ってもらえてうれしい。そんな構造が「話せば分かる」論を、日本にはびこらせているのである。
読者受けを狙って御用学者を選別し部数を伸ばすのは保守系のメディアも同じなので、この部分もそのままブーメランとなる。「ニュース女子」や「そこまで言って委員会」が長谷川氏を重宝するので、彼も使って貰えて嬉しい。そんな構造が「話しても分からない」論を日本に蔓延らせているのである。
自己客観視能力が十分に高い者は、このような「自分の事は棚に上げ」は犯さない。
>中国やロシア、北朝鮮のような独裁・専制主義国家は「話せば分かる国」ではない。だからこそ、ときにはムチや大胆な行動が必要になる。
「大胆な行動」はさておき、「鞭打つ」を是とするのは相手を人ではなく動物と見做すに等しい。そのような姿勢では通じる話も通じない。
話が分かるか分からないかは、聞き手の理解力・包容力・傾聴力や話の手の交渉術・説得力・語彙力等にもよる。独裁者全員が話が通じない訳でもないし、民主的に選ばれた者が常に話の通じる相手とも限らない。互恵精神や議論能力・先見性・忍耐力・共感力が乏しい未熟者同士ならば、どれほど対話を重ねたところで相互理解は深まらないだろう。
>日本の学者や専門家のほとんどは、侵攻前に「ロシアが侵攻するわけがない」と唱えていた。これも、ウラジーミル・プーチン大統領の発想や論理を、西側社会の常識で理解しようとしたからだ。
結果的に侵攻以前のプーチンの情報分析力を過大評価していたことになるが、それ自体は単なる情報不足が主因。彼らが平和ボケしていた証拠にはならない。実際、「侵攻するメリットが(露の国粋主義者や軍需産業等を除き)ない」という西側の常識は今も間違っていない。
論理飛躍と思考停止と視野狭窄に陥った者ほど、そんな自分を肯定してくれるトンデモ右翼思想に被れやすい。
さはさりながら「話しても分からない論」の論客には、是非とも「教育上体罰が必要な事もある」の証明に挑んで頂きたいものだ。
論破できたら1億円。誰でも何度でも挑戦可 http://kanjo.g1.xrea.com/mindo.htm#6
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