民度の高い国家ほど国防意識は低くなる

人間不信と猜疑心に苛まれた視野の狭い国民が多い国家ほど、周辺国を敵視し国防費は増加する。

戦争は外交の失敗の結果だ。「戦争は外交の延長、外交の一手段」と主張する愚か者が未だにいるが、正しくは「戦争は外交の失敗の延長、外交放棄の証拠」に過ぎない。コミュニケーション能力の低い者ほど、殴り合いや殺し合いを是認し首肯し賛美する。

「国のために戦う」と主張する人に共通するのは、「この土地は自分達の物だ」「国土を守れなければ民が滅ぶ」という根深い土地信仰と、「自国政府は失政しない」「自国政府の過ちは己の過ち」という国家への盲従、そして「言って駄目なら叩け、叩いて駄目なら殺せ」という暴力肯定主義・テロリズムへの妄信である。
悲惨な事に、彼らは自身が洗脳されているという自覚すらない。

構成員の過誤を指導者が償うのはまだしも、指導者のミスを構成員が被るのは民度の低い集団の特徴だ。
政治家や役人の失策の尻拭いは「失敗した当事者」が為すべきことである。だが批判的思考力が乏しい人々は、「国の為」「英雄になれる」等と絆され無能なお上のツケを払わされる。そして「最終的には連帯責任」と甘えた指導者は、ますます過ちを犯しやすくなる。

他国に攻め込まれたらどうするのがベストか。
最初から無抵抗不服従を貫く。街中を他国の戦車が走行しても極力、普段通り生活する。男は敵兵から女子供を守ることに専念する。軍人や警察官も、侵略者を侵略のみを理由に攻撃せず、平常通りの治安維持と市民の安全確保に集中する。敵兵が暴走しても殺傷武器は極力控える。徹底して無抵抗であればインフラなどは破壊されず人命損失も最小限に止まる。
概して他国に攻め入る国家は攻め入れられる国家よりも民度は低いので、当面は主権が剥奪され自由を脅かされ暴政に苦しめられるだろう。だがそれはそれまでの不徳の致すところなのだから、我慢するしかない。これも無策な指導者のツケの払い方の一つである。何よりも、侵略者を受け入れ彼らと直接対峙することは彼らへの教育の良い機会になるのだが、この話は長くなるので割愛。

尤も現状では、国家単位でこれを実現できる程にはまだ地球人は精神が発達していない。そもそも仮にそんな国が存在したとしても、その為政者は交渉力に優れるため、周辺のどんな野蛮国とも(彼らに侵略の口実を与えるほど)関係を悪化させることはないのだが。
それを実現できる可能性が現時点で最も高いのが日本だ。これは誇るべきことなのだが、国粋主義に感化された人々には理解は困難だろう。

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