同性婚反対者の「未熟な性概念」

 同性婚を認めない国の主張が如何に矛盾しているかについては既にあちこちで指摘されているので割愛。

 問題の根っこには「受けた性教育の水準の低さ」があり、それが無知・偏見を助長し、現在の(主に保守を自称する)政治家とその支援者の頑なさに繋がっている。彼らは「これまで先人達が性教育の在り方を見直さなかったツケ」を体現しているだけ、とも言える。
 彼らに情報提供つまり教育を施しても、ああだこうだと理屈を並べてなかなか考えを改めない。人は「今までの自分は愚かだった・考えが浅かった・無知だった」とは認めたくないからだ。
 どれほど天動説の矛盾と地動説の合理性を説いてもそれが浸透するには長い年月を要したように、元より論理的思考力を鍛えられていない今の大人は、正常性バイアス等によって簡単に思考停止に陥る。低レベルな性教育しか受けられなかった異性愛者であれば猶更、同性愛者の置かれた立場に対する共感力は芽生え難くなる。

 それよりは、高水準の性教育を実現し、まだ真っ白で柔軟な幼少期のうちから高度な性概念を習得させる方が、遥かに容易く社会通念を変化させ、より抜本的な制度改革に繋がる可能性も早まる。
 小学校に上がると同時に、数年後には初潮や精通を迎えるであろう彼らに「人間が如何にセクシャルな存在であるか」を教えるべきだろう。当然、同時に、生命倫理や性犯罪に出逢った際の具体的な対処法を伝授することも忘れてはならない。「子供はいつまでも無垢な子供らしくあって欲しい」という大人のエゴが、彼らを危険な目に会わせている事に気付かなければならない。

 変えるべき対象は、未成熟なまま偏狭思想に凝り固まってしまった大人の心ではなく、未来の「成熟した大人」を作るための教育内容だ。

 だが「自分たちが生きているうちに同性婚制を実現したい人・教育改革を待っていられない人たち」は、結果を焦る余り無意識的に困難な方を選ぼうとする。そうしてまたしても子供たちは放置され、ツケが次の世代に回される。
 問題の本質(低水準教育)から目を背けている限り、歴史は繰り返す。結局、時間が解決するその時まで。

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