「被害者も悪い」という思い込み

引用文は大原浩氏。多々おかしな事を言っているので反論してみた。
「ウクライナやNATOも悪い」という彼の理屈は「挑発したら、された側に殴られても仕方ない」というもので、物事の因果を見極める能力に乏しく、因果論と善悪論或いは正当防衛と過剰防衛の区別が曖昧で、暴力肯定主義・テロリズムに対する批判的思考力も欠けている人々に多く見られる典型的な錯誤・勘違い・思い込みである。
(以下、※部分の論拠詳細は弊サイト・感情自己責任論(解釈の自由と責任)~学校では教えない合理主義哲学~ http://kanjo.g1.xrea.com/ をご参照ください)

>もちろん「手を出した」国が悪いに決まっているが、「手を出さざるを得ない」状況に追い込まれていたのも事実である。

ロシアにとっての事実でしかない。どれほど挑発されようと、挑発に乗るのは乗る側の勝手自由。乗らない選択肢を選ばなかったことを他者のせいにはできない。加害行為の原因は被害者にはない※。同様に、真珠湾攻撃や原爆投下その他あらゆるテロ行為も正当化できない(いきさつ・事情がどうあれ、常に行為をした側に原因と責任がある)。

>「ウクライナをNATOに加盟させるぞ」と苛め抜かれたロシアが、吉良上野介の小姓(ゼレンスキー氏率いるウクライナ)に手を出してしまったというのが本当の構図

どれほど苛められようと、それは相手を殴って良い理由・言訳・口実・免罪符にならない※。勿論、殴られたウクライナにとっても、緊急避難的な行為以外は正当化できない。テロに対して暴力で応対するのもテロである。

>「ウクライナがNATOに加盟したらロシアは終わりだ」とプーチン氏が考え、そのようなメッセージも明確に送っていたのに「危険運転」を行った米国やNATOにも大きな非があると思う。

「ロシアが終わる」という発想が既に仰々しい被害妄想だが、NATOは単に仲間を増やし、万一に備えて防御の態勢を取っていただけなので正当防衛の範疇。そもそも車で煽られ幅寄せされたからと言ってキレて殴るのは筋違い。

>結局、一方的にバイデン民主党政権サイドに立つ報道機関は、民主党の御用メディアに成り下がっているのではないだろうか。

少なくとも共和党(トランプ党)の御用メディアよりはフェイクが少ない分、マシである。

>(ゼレンスキー)氏が「NATOに加盟する」という発言をしなければロシアの侵攻が無かったのはほぼ確実だと思われる。したがって、「自らの発言でウクライナ国民をリスクにさらした」

どこに加盟するかは各国の自由。ドネツクの2州の民族自決権を尊重すべきと宣うなら、ウクライナの自決権も尊重しなければダブスタになる。思い通りにならないからと武力を行使するのは論外。
そもそも解釈者の解釈やその結果に対する責任は発言者にはない※ので、ロシアの侵攻をゼレンスキー氏の発言のせいにするのは論理的に間違っている。

>「地球温暖化論」は、(人類が排出する二酸化炭素の)短期的、極所的な影響ばかりに着目して、歴史的な気候変動や、太陽光や火山活動など重要な気候変動要因をまるで無いかのように扱ってきた。

世界中の一流の洗練された大勢の科学者が、それらの最重要かつ最も排除すべきでない素人にも分かるほど重要な気候変動要因を”まるで無いかのように扱ってきた”とは、常識的に考えてあり得ない。
一方、概してメディアリテラシーや科学リテラシーが低い地球温暖化懐疑論者が、同レベルの反知性主義者であるトランプやプーチンやルカシェンコ等に共鳴・同調することは、常識的に十分あり得る。

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