十六夜

 スタエフでは十六夜と称しています。ときおり、かっこいいですね。なんていわれて、すっかり調子に乗っています。名前に日めくりカレンダーなんかつけて、旧暦の16日は、私の日だなんてはしゃいでいますが、実は十六夜は本名ではないんです。どんな人かなあと思って、検索した方にはお手数をおかけして申し訳なくおもいます。
 個人情報になりますが、私の戸籍上の名前には、これまで、十、六、夜の文字が使われたことはありません。なので、十六夜さんて、お隣の五十嵐さんかしらとか、お向かいの六十嵐さんの娘さんなんじゃないかしらと思った方、残念ですが、その推察はあやまりです。

 それはさておき、十六夜って満月の次の月だと思ってましたが、あらためて調べてみると、噓八百だったことがわかりましたので、懺悔してのご報告です。

 十六夜は、旧暦16日の夜のことで、そのとき見える月は、十六夜の月。同様に十五夜は、旧暦15日の夜のことです。十五夜に見えている月は満月かというと、天文学、暦学的いうと、ほぼそういうことはないのですが、十五夜の月をみて満月だということは、差し支えない。というのが結論です。

 以下、だらだらと説明をして、最後に十六夜日記、中秋の名月にもちょっと触れます。

 キーワードとして、太陽太陰暦、(旧暦)、月齢、月相なんかになります。いっろんな入り口がありますが、まず、満月から始めてみましょう。

 天文学的には、望が満月です。望は(細かい話はとばして)地球からみたとき、月の中心が太陽の中心の真反対に来た瞬間のことです。満月は瞬間をさすことばで、
 「今日の20時15分13秒が満月」であって、今夜、ずっと満月ということはないのです。望が14時25分28秒の月は、満月をみることはできないのです。

 天文学では、そうですが、一般の人々使う、満月・望月といった場合は、望の瞬間だけでなくその日に見える月のことを指していたり、十五夜の月を指していたりします。

 つぎは、満月の逆、新月です。満月と同じように、地球からみたとき、太陽と月の中心が同じ方向になった瞬間を朔といいます。同じ方向ですが上下にずれているのが普通ですが、上下のずれがないときは、日食になります。

 太陽の中心が真南を通過する瞬間が、午後0時で、その12時間前、12時間後が午前0時で1日の始まりになっています。
 (メモ;地球が1回転するのが、1日ですが細かい話をすると、地球が360度回転するのに必要な時間は23時56分です。この速さはほぼ一定で、正確にはミリ秒単位の変化がみられます。公転の結果、太陽は少しずつ逃げているので、太陽が南中するために地球はもう少しっ回転しなければなりません、それに必要な時間が、平均4分でその結果、というか、南中から南中まで太陽日としその平均的な時間を24等分したものを1時間としています。24時間で地球は平均的に361度回転しています。ただし、太陽が逃げる速さ(公転速度)は一定でなく、公転速度が速いときは、4分では追いつけないため、毎日少しずつ南中時間が遅くなってゆきます、一方、公転速度が遅いときは、毎日少しずつ南中時間が早くなってゆきます。その結果、1年間で最も南中時刻の早い日と遅い日では30分近くの差になります。)
 月の1か月は、朔から朔までの期間で朔望月といいます。月の公転速度は一定ですが、1日の時と同じように太陽が逃げているので、朔までに少し動かなければなりません。地球の公転速度が速いときには、朔望月は延長し、遅い時には短縮して、朔望月は29.27日から29.83日です。また、新月から満月までの時間 13.9日 15.61日

 月齢は、朔になったあとの経過時間を日にちの単位で表したもの。ある日の月齢は、その地域の標準時正午の月齢を表している。
 ある日の24時間内に、朔になると、その日を旧暦の1日としています。つまり、太陽暦の日付と旧暦の日付けは地域によって異なることがあります。
(メモ:「一月」(正月)は、中気の(二十四節気のうち正節を除く雨水・春分・穀雨・小満・夏至・大暑・処暑・秋分・霜降・小雪・冬至・大寒の12の節気。)「雨水」を含む月をとした。中気を含まない月は、閏月とした。この暦法によって閏月を年末ではなく年中に置き、暦と季節のずれもおおむね半月程度に抑えることが出来るようになった。)

 これらのことを元にして考えると、必ずしも旧暦15日に朔(満月)にならないということを考えてみましょう。
 ある日の午前1時に朔になったとしましょう。その日は旧暦1日になります。13.9日後は旧暦14日の午後11時でその時望になりますから、旧暦13日に満月が起きることになります。
 また、ある日の午後11時頃朔になり、望まで15.6日かかると17日に満月になります。満月は旧暦の14日の遅くから17日の早い時刻におこります。平均的には十五夜月が満月ですが十四夜月から十七夜月までが満月となりえます。
 つまり十五夜は満月とは限らないなのです。

 月相は、月面のうち太陽光を反射して輝いて見える部分を地球から観測(または予測)したときの様相で朔、望、などがあります。。
 日本では一般的に1周を360°のかわりに28で分割した値で表す。 これは4の倍数で分割することによって朔、上弦、望、下弦をすべて整数にするとともに、4の倍数のなかで平均朔望月の約29.53日に最も近い28とすることによって旧暦の日付や月齢とおおむね連動させるためです。
 天文学などの学術的には月相を28分割することにあまり意味はないので、国立天文台の暦要項では中央標準時における朔、上弦、望、下弦の4種類の月相の時刻のみが公表されています。

 『十六夜日記』(いざよいにっき)は、藤原為家の側室・阿仏尼によって記された紀行文日記。女性の京都から鎌倉への道中の紀行と、鎌倉での所領紛争の解決のための訴訟が記されている。一巻。大別すると鎌倉への道中記と鎌倉滞在期の二部構成。弘安6年(1283年)ころに成立したと考えられている。
 成立当初、作者はこの日記に名前をつけておらず、単に『阿仏日記』などと呼ばれていたが、日記が10月16日に始まっていることを由来として後世に現在の名前が付けられた

 『十六夜物語』は、江戸時代に製作された『十六夜日記』の絵入り写本である。挿絵に、描かれる人々は近世の服装をしている。鎌倉時代の紀行を、読者になじみやすく江戸時代にうつしかえているのである。

 旧暦8月15日から16日にかけての夜の月を「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」と呼ぶ。「仲秋の名月」という表現もあるが、これだと「旧暦8月の月」を指し、十五夜の月に限定されなくなる。「仲秋」とは、秋を初秋(旧暦7月)、仲秋(同8月)、晩秋(同9月)の3つに区分した場合、旧暦8月全体を指す。対して「中秋」とは「秋の中日」=旧暦8月15日のみを指す。
 名月必ずしも満月ならず なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?