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もろこし と とうもろこし

 モロコシ(蜀黍、唐黍)は、イネ科モロコシ属の一年草、タカキビ(高黍)とも呼ぶ。外来語呼称にはコーリャン、ソルガム、ソルゴーがある。沖縄ではトーナチンと呼ばれる。文字では唐黍(とうきび)って書くんですね。
 
 原産地は熱帯アフリカで、エチオピアを原産地とする仮説が有力である。エジプトでは紀元前3世紀頃には栽培されていた。早い時期に西アフリカ、北アフリカ、インドへ伝播し、のちに中国、東南アジアにも伝播して栽培種となった。中国に入った時期は950年頃と考えられている。古くは「蜀黍」と呼ばれたが、現代の中国名は「高粱」である。
 
 日本には室町時代に中国を経由して伝来した。五穀(キビ)の一種としてモロコシ、タカキビ(高黍)という名前での食用栽培のほか、サトウモロコシ、トウキビ、ロゾク(蘆粟)という名で、糖汁採取目的の栽培も行われてきた。
 
トウモロコシ(玉蜀黍、玉米)は、イネ科トウモロコシ属の一年生植物。米・小麦と伴に、主食として食べられる世界三大穀物の一つである。
 
 トウモロコシの起源はメキシコからグアテマラにかけての地域に自生しているテオシント (teosinte)で、約9200年前に分岐したとされている。
メキシコ高地で多様化した後、「メキシコ西部・北部 → 北米南西部 → 北米東部 → カナダ」あるいは「メキシコ南部・東部 → グアテマラ → カリブ諸島 → 南アメリカ低地 → アンデス高地」へと伝播したと考えられている。
コロンブスが、キューバ島のカリブ人が栽培していたトウモロコシを持ち帰ったことでヨーロッパに伝わった。16世紀半ばには地中海沿岸一帯に広がり、16世紀末までにはイギリスや東ヨーロッパにも広がってヨーロッパ全土に栽培が拡大した。ヨーロッパ諸国の貿易船によって、アフリカ大陸には16世紀に、アジアにも16世紀初めに、広まっていた。
 コロンブス以前に既に旧世界に存在しており、12世紀のアフリカ、13世紀のイベリア半島(スペインやポルトガル)で栽培されていたとする研究がある。古代ポリネシア人が太平洋を越えてアメリカの産物や技術をアフリカへ移動させ、その中にトウモロコシも含まれていたという説もある。
 
 日本へは、1573年から1591年ごろにポルトガル人によって熱帯型の硬粒種(フリント種)が長崎にもたらされたとしている。黍に似ているということで、当時は「とうもろこし」という名の他に「なんばんきび」とも呼ばれ、漢字では南蛮黍、あるいは玉蜀黍と書かれた。
 その後、阿蘇山麓や四国の山中、富士山麓など気候や水利の面で稲作に向かない地域に広がった。

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