駄々をこねる総理大臣

 通信教育で、民法や刑事訴訟法に精通している私ですが、憲法でおもいつくことといえば日本国憲法9条と17条憲法ですね。あとは、基本的人権、公共の福祉、25条、29条なんかを憶えさえられた気がしますが、どれがどれだか覚えていません。

 今では少し知恵がついたので、いろんな法律が、憲法の枠組みの中で作られていることがわかるようになりましたが、当時は憲法の働きがよくわかりませんでした。

 憲法の働きを実感したのは、中学校か高校のとき、解散総選挙があったとき、社会の時間に、いろんな手続きが憲法にのっとって行われているという話を聞いた時でした。

 今年の秋、高校中学の社会の時間、この授業が行われることは間違いないでしょう。

 さて、岸田さんが、自民党総裁になり、来週には総理大臣になるようです。菅さんのスピーチは高く評価されていますが、このとき菅総理大臣の肩書は前総裁になっていました。いつ変わったのかを振り返ってみると、野田毅総裁選挙管理委員長の宣言の瞬間ということになるのでしょう。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/09/29/kiji/20210929s00041000511000c.html

 ところで、菅総理大臣はいつどのようにやめるのかが気になり調べてみました。

 今回、菅総理大臣は、9月3日に、辞意を表明したことになっていますが、このときは、自民党総裁選にでないといっただけで、多分、総理大臣をやめますとはいってないんじゃないかと思いました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210903/k10013240781000.html

 新しい自民党総裁が決まった後も、総理大臣を辞任しなかったらどうなるのかなあと気になったわけです。

 憲法には総理大臣の辞職に関する規定はなく、内閣総理大臣の自発的な辞職つまり総理大臣が内閣を残して単独で辞任出来るか否かについては、日本国憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」に含まないとすると日本国憲法第71条の「前二条」の場合に含まれないことになり職務執行内閣が成立する根拠が失われる。
 このようなことから通説では日本国憲法第70条の「内閣総理大臣が欠けたとき」には内閣総理大臣の辞職を含むとする。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E7%B7%8F%E8%BE%9E%E8%81%B7
ということで、通説で、総理大臣の自由意思で辞職してもいいんじゃないということになっているようです。

 内閣総辞職は、憲法69条と70条に記載がありますが、69条や70条の2はある意味自動的に総理大臣としての資格を失うにもかかわらず、辞職という形式にしているのは、武士の情けが脈々と受け継がれているということなんでしょうか。
 このときも辞表を出さなかったら・・・ 憲法学者が出てきて、もう切腹しないっていうんだったら、打首でいいんじゃないと解釈することになるんでしょうね。これで、総理大臣の駄々は抑え込まれます

 さて、総辞職の時には、通常総理大臣が、閣僚の辞表をとりまとめることになっているようですが、
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%9B%BD%E6%86%B2%E6%B3%95%E7%AC%AC69%E6%9D%A1
 いったいそれはどこに、提出されるのかは秘密のベールに包まれています。実際には、閣僚の辞表はあってもなくてもよくて、大事なのは総理大臣の辞表のようです。
 それが提出されると、
国会法:第六十四条 内閣は、内閣総理大臣が欠けたとき、又は辞表を提出したときは、直ちにその旨を両議院に通知しなければならない。
 によって告げ口され、
日本国憲法:第六十七条
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。
 でつぎの総理大臣がきまるようです。

 告げ口はいったい誰がするのかも気になりますが、事務方の内閣官房長官なんかがするんでしょうか。

 辞意は表明したわけですが、ずーっと辞表を出さなかったらどうするんだろうと、心配していたら、
 政府は21日の閣議で、菅義偉首相の後任を選出する臨時国会を10月4日に召集することを決定した。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021092100711&g=pol
ということで、今回は自分で決めていることがわかりました。
さらに、過去の記事を調べてみると、国会召集の朝に臨時閣議を開いて総辞職をきめて辞表を提出しているようです。

 ということになると、首相の後任を選出する臨時国会を召集しいなかったらどうなるかということですが、議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集を決定しなくてはならない(憲法第53条)。という規定があるので自民党の議員が、この規定で国会を開いて内閣不信任決議をすることによって、総理大臣の駄々は抑え込まれる仕組みになっているのでしょう。


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