人件費が減少している!?カラクリを紐解いてみる

 この記事にたどり着いてくださった皆様、こんにちは。
 note執筆はかなり久しぶりですので、読みにくい箇所がありましたら申し訳ありません。


そもそもの発端

 原因はこいつです(このウェブサイトは悪くありません、念のため)。

 このサイトにここ3年のチーム人件費が掲載されているのですが、2021~2023年の推移が6.35億円→6.12億円→5.79億円と減少しているんですよね。因みに売上高は増加していることもわかります。
 これを見て、「ファジアーノは人件費に金をかけなくなった!」とか、「実はとっくに昇格するのを諦めていたのでは?」と思う人もいるかもしれません。
 特に今季は昇格の可能性がなくなった状況ですし、現状に不満を抱えている人にとっては、格好の批判材料となりそうです。
 ただし批判したいときこそ、いったん立ち止まって考えてほしい。「本当にこの数字は正しいのか。どこから引用したものなのか」と。
 なお、このサイトの数字は何ら間違っていない。しかし、同じ人件費として比較しているから変な誤解を生んでいます。
 これだけでは何のことかよくわからないので、以下順を追って説明していきたいと思います。

前提として把握してほしいこと

 上記の決算サイトで2023年と書かれていますが、2023年1月期の決算の数字ですので、あくまで昨季の数字であり、今季の売上や人件費の話ではないことは承知しておいてください。
 今季の数字は、来年1月に北川社長が新体制発表会見で見込みの数字を発表すると思われますので、それまでお待ちを。因みに今年の会見は以下のとおりです。

クラブ公式HPではどうなっているか

 まず人件費が減少していると聞いた時点で、「北川社長が言っていたことと違うぞ?」と思うわけです。というわけでクラブが4月28日にリリースしている決算状況を見てみましょうか。

2022年度 経営状況について より


 件のサイトの2023年=上記リンク先の表の2022年です。
これを見ると、営業費用の(内 選手・チームスタッフ人件費)項目は6.57億円となっています。
 「(金額が)全然違うじゃん!(画像省略)」となりますよね。2020、2021年は金額が一致しているのにも関わらず、です。
 (なお理由がわかれば、「当然の結果です」と答えられるようになります)
 
 この数字の違いを見て、どう感じましたか?
 「クラブが発表した数字は間違っているんだ!」と思った人。あなたは現在ストレスが溜まっていませんか?なぜ数字が異なるのか、理由を考えることが大切です。根拠なき批判はいけません。
 「クラブが誤った数字を発表するはずがない。サイトの数字が間違っているんだ!」と思った人。クラブを信じる姿勢は真っ当なものですが、理由がはっきりしない状況では単なる盲信になるかもしれません。
 現時点ではっきりしていることは、クラブ発表の数字とサイトの数字が異なるということのみ。それでは、次の材料を探してみましょうか。

Jリーグ公式HPの決算一覧を見る

 次はこちらです。

 そのページ内にある、2022年度 クラブ決算一覧を見てみましょう。

https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_1_20230725.pdf

2022年度 クラブ決算一覧 より

トップチーム人件費の項目ですね。5.79億円となっております。
 はい、サイトが正解でした!クラブの発表が間違い!


 




 で終わる話だと思いましたか?こんな単純なわけがないのです。
 そもそもJリーグが掲載している決算情報はクラブから報告されたものでしょうから、本来ならクラブ発表の数字と異なるはずがありません。
 仮にクラブ公式HPに掲載された数字が間違っているとしたら、すぐに訂正されているはずです。ということでもう少し深堀を。
 
 ちょっと2021年度のクラブ決算一覧を見てみましょうか。

https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_1_20220728.pdf

2021年度 クラブ決算一覧 より

 ここのチーム人件費の数字は、クラブ公式HPの数字や決算サイトの数字と一致してますね。
 ん?チーム人件費…?と気づいた人は鋭い!
 
 2022年度はトップチーム人件費と記載されていますが、2021年度はチーム人件費となっています。
 これを単なる表記の違いととるか、計上できる費用が変わってしまう可能性があると考えるか。ここは後者の考えを採るのが妥当でしょう。下図のようなことが起こっていると仮定して、次の資料を見てみましょうか。

こんなイメージ

クラブ経営情報開示資料から結論を出す

 先ほどのクラブ経営情報のページに、クラブ経営開示資料がありますね。ちょっと覗いてみましょう。

https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_2_20230725_final.pdf

クラブ経営情報開示資料(2023.7.25現在)より

 2021年度のトップチーム人件費を見てください。2021年度 クラブ決算一覧のチーム人件費の数字と異なりますね。他クラブを見ても同様の状況です。
 因みに一年前のクラブ経営情報開示資料はこちら。

https://aboutj.jleague.jp/corporate/wp-content/themes/j_corp/assets/pdf/club-r3kaiji_2_20220728_final.pdf

クラブ経営情報開示資料(2022.7.28現在)

 「(2022年度の資料の数字と)全然違うじゃん!(2回目)」となりますね、はい。
 これでもうお分かりだと思います。
 チーム人件費とトップチーム人件費は同一ではないのです。
 
なんというトラップ。。。
 そしてあの決算サイトは同一でない項目の数字を並べているため、人件費が減少したと勘違いを生むことになったということですね。
 なお、チーム人件費に計上できてトップチーム人件費に計上できない費用は何があるのでしょうか…。多分これかな?というのは思い浮かぶものの、確証はないためここでは触れません。

最後に

 いかががったでしょうか。数字は嘘はつかないが、数字で嘘はつけるという良い例だったと思います(もちろんあのサイトは騙そうとして掲載しているわけではないはずですが)。
 こういった数字を見ながらクラブを応援するのも楽しいものですね、と書いて、この記事を締めようと思います。


 そして、この記事が参考になった!という人は下記の動画を見てください(露骨な宣伝)!


 私が応援しているTrySail(トライセイル)というユニットです。
 3人とも応援していますが、その中でも特に麻倉ももさん(真ん中の人)が好きです(左は夏川椎菜さん、右は雨宮天さん)。
 因みに浦和レッズ所属の小泉佳穂選手は、好きな芸能人に麻倉ももさんを挙げています。実話です。選手名鑑にちゃんと書いてあります。サッカーと関係のある話でしょう?
 まとまらなくなりましたが、これにて終了です。お読みいただきありがとうございました!

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